これからの世界経済を考える『日銀の異次元の量的・質的金融緩和(アベノミクス)』

これからの世界経済を考える『日銀の異次元の量的・質的金融緩和(アベノミクス)』

世界的な量的緩和が今後の世界経済にどう影響するのか?

その出口はどうなるのか?

米国の利上げはどう影響するのか?

近年の異常とも言える市場の動き。

これからの世界経済はどのように動くのでしょうか?

次は、日本で起きた『日銀の異次元量的・質的金融緩和(アベノミクス)』について考えてみます。

米国の金融緩和がもたらした日本への影響は極度の円高

サブプライム危機の収束が見えていなかった2011年頃は、米国の金融緩和の影響で、米ドルがどこまで刷られる続けるか分からない状況でした。

さらに、ギリシャの債務問題なども懸念されていて、ユーロも売られ続け、日本円やスイスフランなど、安全な国の通貨に資金が逃げ込む傾向が非常に強まりました

その結果、サブプライム危機以降は円高が極度に強まり、2011年10月に1ドル=75.35円の史上最高値を記録しました。

 

円高は日本への投資には結びつかない(日本にとってマイナス面が多い)

円高の影響でトヨタやホンダなどの自動車企業、ソニーやパナソニックなどの電化製品の企業を中心に、輸出をメインとしている企業の売り上げがかつてないほど落ち込み(円高では海外での売上が下がる)ました。

 

円相場の落ち着きを取り戻したのは2013年

その後、2012年の終わり頃には欧米の信用危機が落ち着きを取り戻し、投資家たちはリスク・オンの姿勢(積極的に欧米や新興国などに投資する)に移り変わっていき、リスク回避のための退避先に選ばれていた日本円を再び米ドルやユーロなどに戻って行きました。

そして2013年4月には、1ドル=100円近くまで値を戻しました。

 

2013年4月4日に発表された異次元の量的・質的金融緩和(アベノミクス)

世界経済の落ち着きを取り戻した頃、ようやく日本も民主党から自民党へ政権交代され、停滞を続ける日本経済を活性化させるために『アベノミクス』による景気刺激策を本格的にスタートさせます。

2013年4月4日、黒田日銀総裁により『異次元緩和』として、アベノミクスの中心とも言える金融政策が発表されました。

 

異次元の量的・質的金融緩和とは?

異次元の金融緩和として日銀が発表した内容は以下のものです。

 

マネタリーベースのコントロール

金利で金融市場を調整していたものを、マネタリーベースに変更しました。

マネタリーベースが、年間約60兆円〜70兆円に相当するペースで増加するように金融市場調整を行います。

 

長期国債買入の拡大

金利の全般的な低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入を行います。

 

ETF・J-REITの買入の拡大

ETFの保有残高が年間約1兆円、J-REITの保有残高が年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入を行います。

 

異次元の量的・質的金融緩和の継続

2%の物価安定の目標を実現させ、これを安定的に持続するために必要な時点まで、量的・質的緩和を継続します

 

さらに2014年10月31日に発表された量的・質的金融緩和の拡大

2014年10月31日に日本銀行は、市場の予想に反し、量的・質的金融緩和の拡大を発表しました。

発表された内容は以下の通りです。

 

マネタリーベース増加額の拡大

マネタリーベースが、年間約80兆円(約10〜20兆円追加)に相当す るペースで増加するよう金融市場調節を行う。

 

長期国債買入額の拡大

長期国債について、保有残高が年間約80兆円(約30兆円追加)に相当す るペースで増加するよう買入れを行う。

 

ETF・J-REITの買入の拡大

ETFの保有残高が、年間約3兆円(3倍増)、J-REITの保有残高が年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。

新たにJPX日経400に連動するETFを買入れの対象に加える。

 

この異次元の金融緩和はいつまで続くのか?

これは誰にもわからないのが現状です。

日銀は、2%の物価安定の目標を実現させ、これを安定的に持続するために必要な時点まで、量的・質的緩和を継続します。と言っていますが、市場では、このままでは日本が破綻してしまうと言っている人もいれば、さらなる金融緩和を行うと言っている人もいます。

 

異次元の金融緩和で大量に増えたお金は金融機関(銀行)にある

日銀による金融緩和で、金融機関(銀行)には大量のお金がまわってきています

しかし、手元に資金が供給されたからといって、すぐに企業への融資や個人への融資が増えるわけではありません。

その理由は、今後の景気判断に疑いを持っている金融機関が多いからです。

お金が余っていて、国の方針で貸し出しを推進されても、そのあとに貸し倒れにあってしまうと、最終的に被害を被るのは金融機関(銀行)です。

そこで金融機関(銀行)は、日銀から得た資金を融資にまわすことなく、国債を日銀に買ってもらって得た資金で再び国債を買い、低リスク・低リターンの運用をする現象が起きています。
※国債を買い入れると非常に少ないですが安全に利益を得れます

日銀の当座預金の伸びに比べて銀行の融資がそれほどに伸びていないのは、金融機関(銀行)のリスク・オフが原因なのです。

使える資金量が膨大だったとしても、あとのことを考えると慎重にならざるを得ないため、量的緩和によりお金を増やしても金融機関が動かず、景気の活性化に繋がらないという意見も出ています。

 

金融機関(銀行)がリスク・オンにならないとお金は国民にはまわってこない

金融緩和によって増えたお金は、まだ金融機関(銀行)に置いてあるままです。

金融機関(銀行)がリスク・オンに転じ、企業への融資(特に中小企業)や個人への融資が増えると、私たち国民にもお金は必ずまわってきます

 

国債を大量に買い続ける日銀の狙いは国債の高騰と品薄状態にさせる

金融機関(銀行)がこうしたリスク・オフになることはわかっていて日銀は金融緩和を継続しています。

日銀にも考えがあり、市場で流通している金額の7割にもあたる大量の国債を購入することで、市場では国債の高騰と品薄状態が続いており、国債の旨みがどんどん少なくなっています。

そうなると、金融機関(銀行)は国債以外の資金運用先(融資や株式)への投資を余儀なくされ、必然的にリスク・オンの状態にもっていこうとしています

 

まとめ

  • 米国の金融緩和がもたらした日本への影響は極度の円高
  • 円高は日本への投資には結びつかない(日本にとってマイナス面が多い)
  • 異次元の質的・量的金融緩和とは大量にお金を発行すること(金融機関へ)
  • 異次元の金融緩和で大量に増えたお金は金融機関(銀行)にある
  • 金融機関(銀行)がリスク・オンにならないとお金は国民にはまわってこない

続きはこちらこれからの世界経済を考える『金融緩和の出口(米国と日本の利上げなど)』

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