これからの世界経済を考える『金融緩和の出口(米国と日本の利上げなど)』

これからの世界経済を考える『金融緩和の出口(米国と日本の利上げなど)』

世界的な量的緩和が今後の世界経済にどう影響するのか?

その出口はどうなるのか?

米国の利上げはどう影響するのか?

近年の異常とも言える市場の動き。

もし、米国だけでなく日本も利上げをすると世界経済はどうなるのでしょうか?

金融緩和の問題点は過度なインフレが起こる可能性がある

米国で起きたサブプライム危機を乗り越えるべく、また過度な円高や景気減退の打開策として打ち出された金融緩和。

しかし、金融緩和には問題点が生じます。

それは、過度なインフレと金融緩和バブルです。

 

お金の量が増えるとインフレが起きる

実は各国の中央銀行にとって金融緩和は積極的には推進したくないのです。

金融緩和によって、モノの量は変わらないのにお金の総量だけ増えてしまうと、モノとお金の比率が狂ってしまい、インフレを招きます。

為替市場から見ても、勝手にお金が増刷される国の通貨価値は下がりますので、金融緩和で過度に市場にお金をばらまくと、為替は弱くなります

現在の紙幣は昔のようにゴールドなどによる物的な裏付けがなく、国の信用により価値が担保されているに過ぎず、あとからお金の量が増えてしまうと希薄化を起こします。

 

お金の価値が下がり続けると金融緩和バブルが起きる可能性がある

お金の希薄化が起きると、一時的にはお金の流れが良くなり、景気回復に貢献することもあるでしょうが、それが行き過ぎると金融緩和バブルが起きる可能性があります。

バブルはいつかはじけて、90年代に日本が味わったあの暗黒の時代に突入してしまいます。

バブルは後始末が非常に大変なのです。

 

低金利を持続させる政策にも問題がある

現在、先進国の各国は、史上最低金利で経済をまわしています。

金利を極限にまで下げると、それ以上は下げられないため、金利を下げて経済を活性化させるというカードが切れなくなります

また、景気が悪く、預金金利も低いという経済においては、融資や投資をしても利益にならないから、現金で保有する人が増えます。

こうなると、お金の流動性が悪くなり、不況からなかなか抜け出せないという問題も発生します。

 

間近に迫る米国の利上げで起こりうる問題点

現在(2015年6月)市場で騒がれている米国の利上げですが、なぜすぐに利上げをしないのでしょうか?

利上げをし、健全な経済状況に戻すことにどのような問題があるのでしょうか?

 

利上げをすると起こる問題 その1米国株安

米国が利上げをする際懸念されている問題は、米国株の下落です。

利上げによって経済活動が停滞し、同時に米国企業への投資が少なくなってしまい、米国株の下落が起こる可能性が高いです。

これは、一時的にしか起こらない場合と、長い期間起こる場合と考えられ、利上げに耐えられる十分な経済成長が必要となります。

 

利上げをすると起こる問題 その2米国から溢れ出た投資マネーの引き上げ

米国の金融緩和や利下げで、米国から溢れ出た新興国などへの投資マネーが一気に引き上げられる可能性があります。

経済全体のレバレッジ縮小により、リパトリエーションと呼ばれる現象です。

この現象が起きれば、先進国からの投資マネーで高い経済成長を維持してきた新興国の景気に水をさすことになります。

 

日本の金融緩和縮小と利上げが起きればどうなるか?

米国とは違い現在の日本は、量的・質的金融緩和の真っ只中ですが、いずれは日本も現在の米国のように、金融緩和縮小と利上げを行わなくてはいけません。

そうなると、日本の市場はどうなるのでしょうか?

 

国債を多く抱えている機関投資家に大きな損がでる

現在、日本の国債の9割は日本国内の機関投資家が保有しているため、金利が上がると国債を大量に抱えている金融機関に損が出ることが考えられます。
金利が上がると国債価格は必ず下落します

これに備えてメガバンクなどは、長期国債の保有を減らし、短期国債を多く持つようにしています。

これにより、利上げの影響をあまり受けないようにしています。

なお、長期国債を多く保有している生命保険会社は、国債を時価評価しない会計方式でありますが、直ちに損が出ることはないようです。

 

日本株の下落と円高

米国と同じように、日本国内の株式市場は下落すると考えられます。

利上げは必ず通貨高(円高)に繋がります。輸出企業が多い日本は特に大きな影響を受けることでしょう。

 

もう後には戻れない金融緩和が巻き起こる現在の世界経済

サブプライム危機から始まった金融緩和は、米国・日本・欧州の先進国を中心に巻き起こっています。

それだけでなく、新興国の利下げも目立ってきており、もう後には戻れない状況に陥っているといえるでしょう。

これには、高い経済成長と景気回復が目的に行われていますが、果たしてこれがその目的に叶うかは誰にもわかりません。

もし仮に経済成長と景気回復が伴わなければ、さらなる金融緩和を行わなくてはならないのですが、金融緩和は永遠に繰り返せるものではなく、いつか限界が来てしまえば、株式市場だけではなく世界全体でかつてないほどの混乱が訪れることでしょう。

金融緩和をするのは簡単ですが、その出口を見つけるのは至難の技です。

米国が金融緩和の出口に差し掛かっている今が、今後の世界経済の糸口になるかもしれませんので、注目してみないといけません。

 

まとめ

  • 金融緩和の問題点は過度なインフレが起こる可能性がある
  • 低金利を持続させる政策にも問題がある
  • 利上げは、株安と国債価格の下落を起こす
  • 利上げに耐えられるだけの経済成長と景気回復を伴わなければ混乱を招く

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