『出資しているのは私たち国民』世界最大の年金基金・GPIFの資産運用プランを知る
世界最大の年金基金をご存知ですか?
それは、私たち日本国民が納めている年金を管理している、年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)です。
その世界最大の年金基金・GPIFが、一体どのように年金を運用しているのでしょうか?
今回は、簡単な年金の概要と運用方法を見ていきましょう。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は世界最大の年金基金
年金の運用についてですが、まずは公的年金がどのように運用されているか説明します。
公的年金は基本的には、20歳以上から60歳未満のすべての人が国民年金か厚生年金に加入し、毎月保険料を払っています。
その金額は国民年金ですと毎月約1万5千円で、厚生年金では毎月3万2千円ほどです。
※この厚生年金は標準報酬月額が30万円の場合です。
年金は保険料として支払われ残りは積み立てられている
そして、これらの年金の資金はどのように運用されているかというと、社会保険庁が国民から集めた年金の保険料は、今現在の老後を迎えたお年寄りの人たちの年金として支払われています。
残りは年金積立金として積み立てられています。
国民年金と厚生年金の2つの年金の積立金を運用しているのが年金積立金管理運用独立行政法人です。
年金積立金管理運用独立行政法人の監督官庁は、厚生労働省で外郭団体です。
それは厚生労働省の指揮のもとで、集めた年金を年金積立金管理運用独立行政法人が、集めた年金を運用しています。
運用規模ですが、139兆8,249億円(平成27年度第3四半期末現在)に上っており全米最大のカルフォルニア州公務員退職年金基金の運用資産残高約25兆円を上回る世界最大の年金基金になっています。
積み立てられた年金は政府年金投資ファンドとして投資で運用されている
年金積立金管理運用独立行政法人の英文名称は政府年金投資ファンド(GPIF)となっています。
政府年金投資ファンドは国民から年金を集め運用していますが、その行為は村上ファンドや外資ファンドと同じく投資で、国営の投資ファンドあります。
リップルウッドなどの外資系投資ファンドの資金の出し手が、欧米の年金基金などに対して、国営・投資ファンドの政府年金投資ファンドの資金の出し手は一人一人の国民です。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は過去十数年安定的に収益を上げている
数年前に巨額の年金基金の使い道をめぐって議論があり、それがワイドショーなどに取り上げられていました。
その騒動では全国13カ所に設置したグリーンピアと呼ばれる大規模年金保養基地事業が、大幅な赤字をしていると批判の対象になりました。
それと同時に年金積立金の運用方針も批判されたというわけです。
その内容は、私たち国民の年金の積立金が株に投資され大損しているなどや、運用経験のない官僚に株式運用をさせるなんておかしいと批判されました。
その時は確かに株式市場は大幅に下落し、国の年金資産の運用も損失を出していました。
当時の損失の金額は、約6兆円という巨額の金額でした。
ですので、マスコミは政府の運用について批判して取り上げました。
ですが、その巨額とも言える損失はその後4年で無くなり、さらに、平成27年度12月までで約50兆円の利益が蓄積されています。
実は、この政府年金投資ファンドは、平成13年度から平成27年12月までで、年率2.99%の利益を出しているのです。
PLAN-DO-SEEのサイクルで安定的に利回りを確保する
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、どのようにしてそれだけの損失を取り返してさらに損失の倍以上の利益を出したのでしょう?
厚生労働省が株式売買に長けた優秀なファンド・マネージャーを雇ったわけでも、政府が内部情報を利用してインサイダーなどで売買で儲けたということではありません。
それは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金運用方法は、ホームページで情報公開され、いつでも国民の積立金の運用について見ることができます。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のホームページの資料によると、年金運用の流れは、PLAN-DO-SEEのサイクルで進められています。
- PLAN
①運用の目標利回りを決める
②運用の対象を決め、それぞれの利回りやリスクを想定
③それぞれの運用対象への資金の振り分け率を決める - DO
実際に運用機関に委託する - SEE
実際の運用結果を計画との関係から評価する
運用の目標を明確にし達成しなければ年金給付金が下げられたり税金が投入される
年金の運用で最初に行うべきことは、運用のゴールを明確にすることで、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用のゴールは、厚生労働大臣が社会保障審議会に諮問して決定されます。
想定のインフレ率は1.1%を上回り、年利3.37%で運用することを目標にしました。
そして公的年金を受け取れる金額は幾つかの要因によって変動します。
それが出生率、平均寿命、運用利回りで決まります。
もし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、インフレ率1.1%を上回った時に、目標運用利回り3.37%を下回れば当然、将来支払われる年金給付額が減り、支払われる年金給付を戻すために掛け金を引き上げる税金を投入することになるでしょう。
こうなってしまっては国民の不満は出るばかりなので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3.37%の目標利回りを安定的に確保する運用が求められています。
まとめ
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は世界最大の年金基金
年金は保険料として支払われ残りは積み立てられている - 積み立てられた年金は政府年金投資ファンドとして投資で運用されている
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は過去十数年安定的に収益を上げている
PLAN-DO-SEEのサイクルで安定的に利回りを確保する - 運用の目標を明確にし達成しなければ年金給付金が下げられたり税金が投入される