為替レート(円高・円安)がもたらす日本企業への影響は為替の効果と資産の効果によるもの

為替レート(円高・円安)がもたらす日本企業への影響は為替の効果と資産の効果によるもの

為替レート(円高・円安)は、日本企業にとって株価と業績に多大な影響を与えます。

なぜ、円高になると株価は下がり業績が悪化し、円安になると株価は上がり業績が好転するのでしょうか?

それには、為替の効果と資産の効果に秘密が隠されています。

そこで今回は、為替レート(円高・円安)がもたらす日本企業への影響とリーマンショック後から円高が進み、日本企業に多大な影響を及ぼした要因を考えていきます。

円のレートは為替の効果と資産の効果に作用する

円高になると日本企業の業績は低迷してしまうことは皆さんもご存知だと思いますが、単純に輸出業が盛んだからという理由だけではありません。

現在の日本の会計制度は、資産の価値を時価で評価する時価会計になっています。

例えば、1億ドルの海外売上と1億ドルの海外資産を持っている日本企業は、外貨建ての売上げと資産を円に換算して決算を行います。

その時、1ドル = 80円の場合だと、1億ドルの海外売上と1億ドルの海外資産は、それぞれ80億円となり、合計は160億円になります。

ですが、1ドル = 100円の場合だと、1億ドルの海外売上と1億ドルの海外資産は、それぞれ100億円となり、合計は200億円に膨れあがります。

すなわち、この日本企業の場合、為替レートが円安に振れることで、同じことをしているのにも関わらず、40億円の利益が出ることになるのです。

それだけでなく、円安に振れることでこの為替の効果が株価を押し上げる要因にもなります。

 

企業の利益は3つに振り分けられる(分配される)

企業は利益が出ると、内部保留従業員への賃金株主への配当として、振り分けます。

しかし、現在の日本企業はこの3つの内、景気に最も左右すると思われる『従業員への賃金』への振り分けが少なく、内部保留と株主への配当を多くしています。

日本では長年にわたってベースアップが行われていなかったことからもわかるように、企業にとって賃上げはそう簡単にはいかない問題なのです。

これは、いったん賃金を上げてしまうと、その後の為替の動きや業績に関係なく、ずっと高い賃金ベースを維持しなければならず、日本では賃金を引き下げることも非常に難しいという事情があるのです。

また、内部保留に関しては、これをあまりにも厚くしすぎると、政府から指摘されたり、投資家からマイナスの評価をされてしまったりもします。

 

株主への配当は変動させるのも可能で株価も上昇しやすい

一方、株主への配当に関しては、企業の業績によって毎年変動させることが可能ですので、為替効果で膨らんだ利益の配分を株主への配当として分配することを選択しやすいという事情があります。

配当が高い企業は利益率が高く、投資家の買いが入りやすいので、株価が上昇しやすくなります。

さらに、企業は他の日本企業の株式も保有していますので、為替の効果で他の日本企業の利益が膨らむと保有している銘柄の株価も上がり、時価評価による資産価値も上がるので、業績がプラスに作用します。

これを資産の効果と呼び、為替の効果と資産の効果という二つの恩恵を日本企業にもたらすのが円安なのです。

 

逆に円高になると負の連鎖が生まれる

1ドル = 120円だった為替レートが80円と円高が進んでしまった場合、逆にマイナスの為替の効果が生まれ、海外売上高や海外資産の円換算額が大きく下がるため、業績が悪化したり赤字になったりする企業が増えます。

そうした企業は、配当を減らしたり無配にしたりするので、投資家の売りにつながり、株価も下がります。

そして、多くの企業の株価が下がれば、マイナスの資産の効果も生じて、他の日本企業の株式を保有している企業の業績も悪化する、負の連鎖が生まれます。

特に最近は、海外売上高比率が50%を超え、70%〜80%に達する日本企業も多く、決算の際に外貨建ての海外売上や海外資産を円に換算して決算を行うので、円高が進むと日本企業の業績が悪化してしまうのです。

 

リーマンショック後から円高になったのは通貨の発行量の違い

2008年に起きたリーマンショックによる金融危機に対処するために、アメリカとイギリスは金融危機前の約4倍の量の通貨を刷り、市場に膨大な量のお金を流しました。

それと同時に、EUもユーロの発行量を約2.8倍に増やしました。

一方、日本はというと、通貨(日本円)の量を約1.4倍にしか増やしませんでした。

すなわち、リーマンショックを機に日本円の価値は、米ドル、英ポンドについては約2.9倍、ユーロに対しては約2倍も高まったのです。

これが、リーマンショック後の為替変動の大きな要因で、通貨の発行量の違いが必然的に、円の価値を上げたのです。

信用収縮で円高効果は抑えられたが日本円は史上最高値を記録した

ところが、実際の為替相場を見てみると、通貨の発行量の違いほどは、円高に進みませんでした。

これには理由があり、未曾有の金融危機が起きたことで、信用創造で膨れ上がったフェイクマネーが大量に消失したことによるものです。
バブルの発生と崩壊の仕組み『信用創造と信用収縮』

リーマンショックによるバブル崩壊で、世界に流通するお金の全体量が35倍程度(現在は約60倍)にまで一時的に収縮したので、円高効果が薄れたのです。

それでも、欧米各国が従来の4倍や2.8倍といったペースで通貨を発行したので、2011年には日本円は戦後史上最高値を更新してしまい、日本の製造業は窮地に追い込まれ、次々と生産拠点を海外に移転させたのです。
2012年のドル・ユーロ・ポンドの為替相場『円史上最高値時代からの転換期』

まとめ

  • 円のレートは為替の効果と資産の効果に作用する
    企業の利益は3つに振り分けられる(分配される)
    株主への配当は変動させるのも可能で株価も上昇しやすい
    逆に円高になると負の連鎖が生まれる
  • リーマンショック後から円高になったのは通貨の発行量の違い
    信用収縮で円高効果は抑えられたが日本円は史上最高値を記録した
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