3つの観点を組み合わせ安定的な収益を上げる『GPIFから学ぶ投資法』
私たち日本国民が納めている年金を管理している、世界最大の年金基金GPIFは、『出資しているのは私たち国民』世界最大の年金基金・GPIFの資産運用プランを知るでもお伝えした通り、債券や株式投資で年金を運用しています。
なぜ国民から預かった年金を現金で保有せず、債券や株式投資で運用しているのでしょうか?
GPIFは、ただ闇雲に債券や株式に投資しているわけではありません。
機密な計算の上で投資先を選別し、実際に収益を上げているのです。
そこで今回は、GPIFから学ぶ投資法といたしまして、GPIFの安全と収益を兼ね備えた投資法を学び、そこから私たち個人投資家が安全に収益を上げる方法などを考えていきましょう。
安全性を第一に考え利回りを追求する投資方法
GPIFが投資をする際にまず考えることは、利回りやリスクを想定することです。
世界には様々な運用の対象があります。
株、債券、外貨預金、不動産、商品先物など、マネー雑誌を見れば数え切れないほどの運用商品があります。
この中から国民の年金を請け持って運用するGPIFは、金融商品の運用対象を決めます。
GPIFが運用対象として選んでるのは、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産です。
平成27年12月末の運用資産別の構成割合は、以下の通りです。
- 国内債券:37.76%
- 国内株式:23.35%
- 外国債券:13.50%
- 外国株式:22.82%
- 短期資産:2.57%
この短期資産の現金や資産を運用に入らなければ、年金の積立金を、この4資産を運用対象に回します。
安全性・流動性・収益性を考慮し運用商品を選ぶ
他の運用商品を選ばなかったのは、政府年金投資ファンドは3つの観点から評価して運用商品を選んでます。
それが安全性と流動性と収益性の3つです。
- 安全性
どの程度、元利金の支払いが確実なのか、国債や銀行の預貯金は安全性が高く、株式や投資信託などは不安性がある。
年金の資金を運用とするとなれば安全性がとても重要。 - 流動性
どの程度自由に現金化ができるか。
政府年金投資ファンドではいずれ給付に回すので、一定の流動性が必要。
企業売買ファンドや不動産などの流動性の劣る商品には慎重にならなければならない。 - 収益性
どの程度収益が期待できるか。
これは、ボラティリティとの対比で考えなければなりません。
※株式や投資信託などは不安性があるが、収益性を確保するために運用対象にする。
GPIFでは、これらの3要素を考慮して運用しています。
GPIFはリスクや利回りを推定し予想インフレ率より高い利回りを実現させる
現在でも、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産を運用対象にしています。
過去データとなりますが、1970年から2007年までの短期資産を除く4つの資産のパフォーマンスは、国内債券が6.5%、国内株式10.7%、外国債券4.4%、外国株式9.8%の利益を出しております。
この期間は、日本が高度成長やオイルショックやバブル経済の崩壊などの様々な経済状況の中、平均の国内株式が最もパフォーマンスが高いことがわかるでしょう。
しかしながら、株価や債券の価値は、経済状況に大きく左右されるので将来のパフォーマンスを予測することは困難です。
ただ、過去の実績を見て、将来の投資のパフォーマンスの期待利回りを見ることが行われますが、日本は公的年金を運用しているのでGPIFでは、保守的な考え方で将来の期待利回りを決めます。
前回の『出資しているのは私たち国民』世界最大の年金基金・GPIFの資産運用プランを知るでも述べましたが、PLAN-DO-SEEのサイクルで運用対象を決め、それぞれの利回りやリスクを想定するという作業を現在でも継続的に行っています。
日本経済や世界経済の拡大のペースが低下すると予想しているが運用することで利益を得られる
GPIFは、国全体の経済成長率や過去の実績等を、4資産でコンピュータモデルを作成してそれぞれの期待利回りを推定します。
その予想が、国内債券が3.0%、国内株式4.8%、外国債券3.5%、外国株式5.0%なっており、先ほどの4つの資産のパフォーマンスと比べてみてわかると思いますが、政府の予想は低い数字を設定しています。
これは、日本経済や世界経済の拡大のペースが低下すると見ているのが要因になっています。
また、国内株式よりも今後の外国株式の方が期待利回りが高いのは、今後の日本の経済の発展が世界全体で見ると低いという予想が背景にあるのかもしれないです。
この、GPIFの予想を見る限りでは、政府は経済成長全体にやや弱気になっていると予想できます。
ですが、これはあくまで過去の実績から将来の期待利回りを推定したものにすぎません。
しかし、大切なことは4資産で運用することによって、インフレ率を上回る収益が得られることはほぼ確実だということです。
そして、将来のために資金を遊ばせることがなく、ベストな方法で運用することで、明るいセカンド・ライフにすることを考えなければいけません。
株式投資のボラティリティは大きいが期待利回りは最も高い
国内債券は、すべてプラスの運用成績ではありますが、国内株式は、年によって損益のバラツキがありました。
そして、このバラツキがあることを運用の世界では、『ボラティリティが大きい』といい標準偏差の数字で表します。
政府年金投資ファンドは4資産について、将来のボラティリティを公表しています。
それは国内債券が5.4%、国内株式22.27%、外国債券14.05%、外国株式20.45%なっており、運用成績が期待できると思っていた国内株式と外国株式はボラティリティが大きく、運用成績がバラツキが出ることがわかります。
このように、期待利回りとボラティリティを知ることで、投資の対象の値動きなどが知ることができます。
そして、知ることによって安定して超長期運用をすることができます。
まとめ
- 安全性を第一に考え利回りを追求する投資方法
安全性・流動性・収益性を考慮し運用商品を選ぶ - GPIFはリスクや利回りを推定し予想インフレ率より高い利回りを実現させる
日本経済や世界経済の拡大のペースが低下すると予想しているが運用することで利益を得られる
株式投資のボラティリティは大きいが期待利回りは最も高い