金融リスク(危機)の原因は銀行にある?銀行がお金を稼ぐ仕組み
お金をどこに預けますか?お金をどこで借りますか?
これらの質問で多くの人が「銀行」と答えると思います。
私たちが普段当たり前のように利用している銀行は、一体どのような業務をしていてどのように成り立っているのでしょうか?
そこで今回は、銀行の業務内容と銀行がお金を稼ぐ仕組みをお伝えします。
銀行は銀行法に基づき業務を行っている
普通銀行は、銀行法に基づく銀行のことを言います。
都市銀行と地方銀行と第二地方銀行に大きく分けられ、銀行法第10条に定められている以下の業務を行っています。
- 預金又は定期積金等の受入れ
- 資金の貸付又は手形の割引
- 為替取引
主に3つの機能を担っている
銀行は、お金の貸し手と借り手との仲介を行う金融仲介と、預金の貸し出しを繰り返すことで通貨量を増やす信用創造と、口座振替で支払いを行う決算の三つの機能を担っています。
- 金融仲介機能
- 信用創造機能
- 資金決算機能
銀行は預金(借金)を又貸しすることでお金を稼いでいる
銀行は金融仲介という形で間接金融を行っており、自己資金(自分のお金)を融資しているわけではなく、人から預金という形で多くの資金を集め、そのお金を又貸ししているのです。
預金者から集めたお金は、銀行側から見れば借金であり、銀行の財務諸表では、預金は負債の部に計上されています。
すなわち、私たちが当たり前のように預け入れている預金は金庫に入っているのではなく、法に基づき貸し出されているというわけです。
預金金利よりも高くお金を貸付け利ざやを稼ぐ
銀行のビジネスモデルは、預金者から集めた借金の金利(預金金利)よりも高い金利でお金を貸付け(貸出金利)利ざやを稼ぐという方法です。
利ざやを稼ぐことがビジネスモデルであれば、貸出金利が預金金利よりも低くなってしまうと、損失が出てしまいます。
銀行の信用を失わないために規制が設けられている
例えば、預金を1000万円集めて、それを融資に使用した結果、融資が焦げ付き100万円の損失が出てしまったとします。
銀行の自己資本が100万円だとすると、差し引きプラスマイナスゼロになるのですが、銀行の自己資本がゼロになってしまったりマイナスになってしまうと、預金者は不安になり信用を失った銀行には預金は集まらなくなってしまいます。
そのために銀行は、経営の健全度を示す自己資本比率が基準を下回らないことを義務付ける、自己資本規制という制限を受けています。
自己資本比率 = 自己資本 + 保有資産等
国際業務は8%国内業務は4%の自己資本が必要
銀行の自己資本比率は、BIS(国際決済銀行)規制によって、国際業務を行う銀行では最低水準が8%以上に規制されています。
日本では、国内業務のみを行う銀行については、自己資本比率4%以上とい自己規制を設定しています。
より自己資本比率を強化したバーゼルIII
上記の規制は2013年から段階的に実施され、2019年から完全実施される新しい規制の枠組み(バーゼルIII)は、日本国内では2006年度から移行した規制の枠組み(バーゼルII)よりもさらに自己資本比率規制が強化されています。
バーゼルIII = 中核的自己資本6% + 劣後債、劣後ローン等及び一般貸倒引当金2%
※中核自己資本の内訳
「普通株等Tier1(普通株式、内部保留などの損失吸収力が最も高い資本)4.5%」
「その他Tier1(優先株式など)1.5%」
さらに、バーゼルIIIでは、自己資本比率8%の最低水準に加え、金融市場における不測の事態が起きた場合に損失を吸収するクッションとなる『自己保全バッファー』を2.5%を上乗せするように銀行に求めています。
規制を設けても銀行のビジネスモデル事態が金融リスクをもたらす
銀行は預金という形で集めたお金を又貸しすることで利益を上げるビジネスモデルである以上、預金者から預かったお金をどこかに融資しなければビジネスが成り立ちません。
ですので、金融リスクがなければ銀行はひたすらお金を貸しに走ります。
逆に、金融リスクが高まると、銀行は「お金を貸しておくと危ない」と考えて融資先から資金を引き揚げたり貸し渋りをしたりします。
こうした銀行の仕組み(ビジネスモデル)そのものが、時にはバブルを生み出し時には金融危機を起こす原因と言えるのです。
まとめ
- 銀行は銀行法に基づき業務を行っている
主に3つの機能を担っている - 銀行は預金(借金)を又貸しすることでお金を稼いでいる
預金金利よりも高くお金を貸付け利ざやを稼ぐ - 銀行の信用を失わないために規制が設けられている
国際業務は8%国内業務は4%の自己資本が必要
より自己資本比率を強化したバーゼルIII - 規制を設けても銀行のビジネスモデル事態が金融リスクをもたらす