株式投資の初心者は長期投資をすべき『長期投資のメリットとリスク』

株式投資の初心者は長期投資をすべき『長期投資のメリットとリスク』

長期投資を行う最大のメリットは、日々の株価変動に一喜一憂しなくても済むという心理学的作用が働く点です。一見単純明快であるように思えて、これは、投資を行う上で最大の難関なのです。

しかし、日々の株価に惑わされないことと、長期投資が安全であるということとは、別問題です。

そこで今回は、株式投資の初心者は長期投資をすべき理由として、長期投資のメリットとリスクを考えてみたいと思います。

長期的に株式投資をすると複利の法則が大きな利益をもたらす

長期投資を勧める書籍などでは、複利の法則について詳しく記載されているものが多くあります。

1年あたりの利回りは低くても、複利であれば、長い目で見れば、何十年後には大きな利益をもたらすということです。

以前ご紹介した日本の株価の歴史を調べてみると凄いことが分かりますの中で、過去130年間で日本の株価は約8000倍に上昇し、年間収益率に換算すると平均約7%であることが分かりました。

年間7%ということは、100万円を投資し、1年経つと107万円になる計算で、さらに次の年には107万円に対して7%となりますから、114万円4900円になります。

こうして10年間投資を続けていれば、資金は約2倍に増えているという計算になるのです。さらに20年間投資を続けると、資金は4倍近くに膨れ上がります。

 

長期投資が必ずしも安全(絶対損はしない)とは限らない

長期投資は、魅力的な投資方法であると同時に、相応のリスクもあります。

長期投資であれ、短期投資であれ、投資にはリスクはつきもので、それは期間によって無くなるものではありません。

長期投資を勧める投資信託などの宣伝文句には、長期投資は低リスクであるといったような表現がよく使われていますが、それはリスクという概念が人によって違うので、多くの人には誤解されているように思います。

 

長期投資は株価変動のバラツキが小さくなる

多くの投資家が考えるリスクとはこう考えます

  • リスクが高い=投資した資金が減る確率が高い
  • リスクが低い=投資した資金が減る可能性が低い

しかし、金融工学(高度な数学的手法で算出されるリスク)の世界で言うリスクとは、想定されたリターンを中心に、どの程度の範囲でブレが発生するかという定義になっています。

例えば、日本株の1年間の期待リターンが9.8%だとすると、リスクは28.7%あります。これは、約68%の確率で±28.7%の範囲に株価が収まっていることを示しています。

1年間のリスクで考えるとこの程度なのですが、これが何年も継続した場合、この株価変動のバラツキは小さくなります

サイコロをイメージして下さい。1年間の株価変動を1回サイコロを振ると仮定し、何回も振っていると、出る目の回数のバラツキは小さくなり、1〜6までの出る目の確率平均的に収束していきます。

これと同じように、年率換算した株価変動のバラツキは期間が長くなるほど小さくなってくるのです。

証券会社などでは、これをリスクが小さいと解釈しているわけです。

多くの投資家は、年間の平均的な株価の変動ではなく、最終的に自分の資産がいくらになったかを気にしています。

1円でも資産が減ってしまうことをリスクと考えるなら、長期投資にしたからといってリスクが減ったり無くなったりするわけではないと言えるのです。

長期投資をする上での本当の低リスクとは、株価の極端な変動の影響を受けにくく、仮に過去の平均期待リターンが続くと仮定した場合、継続的な利益を得れるという意味なのです。

 

将来の期待リターンはどうなるかは誰にもわからないが今後もリターンは継続的に上昇する

日本の過去130年間の平均期待リターン7%だと言っても、将来にわたって、その7%が将来も継続されるかは誰にもわかりません。

しかし、今後も、株式投資のリターンは比較的高い水準で推移すると予想されます。

その理由は、企業に要求された利益水準が大きく低下するとは考えにくいからです。

 

基本的に株価は上昇することが想定されている

企業は事業を行い、そこから利益を上げることを目的とした組織です。事業を行うためには資金が必要ですから、投資家から株式という形で経営権と引き換えに資金の提供を受けるのです。

資金が必要であれば銀行から借りるという方法もありますが、銀行はあくまで商売としてお金を貸します。銀行は貸したお金の元本回収と金利の徴収が仕事ですので、お金が無くなるような大きなリスクは取れません。

銀行が原則として担保を要求するのはこうした理由からです。

企業は最悪の場合、倒産するリスクがありますから、企業に無担保で資金を提供する株主は、銀行が徴収する金利よりもはるかに高いリターンがないと誰も投資をしません。

このため企業は、利益の中から毎年の配当を支払うだけでなく、事業を継続的に成長させ、株式の価値そのものを上げていくことが求められています。

継続的に利益成長ができなければ、株式に投資する投資家はいなくなってしまいますので、株式投資の期待リターンは、常に預金の金利などよりも高い水準で推移することが想定されているのです。

 

長期投資での最大のリスクは金融危機

戦争やハイパーインフレといった、国家レベルの危機に陥るケースを除くと、一般的に長期投資を行う上での最大のリスクは、リーマンショックになどの金融危機です。

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リーマンショックはその影響の大きさから100年に一度の危機などと言われています。

しかし、危機が発生する前までは、多くの金融機関や投資ファンドなどが、金融工学に基づいた十分なリスク管理をしているので、金融危機が発生しても対処可能と説明していました。

しかし、現在こそ混乱は収まったと言えますが、リーマンショック発生時は、従来のリスク管理システムはうまく機能しなかったことから、こうしたリスク管理の基本に疑いの目が向けられたのです。

長期投資をしていると、短期的に売買している投資家よりも金融危機に当たってしまう可能性は高くなります。

何年間も順調に重ねていた利益を一瞬にして消してしまうという事態も起こり得るのです。

一番最悪なケースは、長期投資を始めた初期段階の時に金融危機にあってしまい、下落局面ですべて売ってしまうことでしょう。

 

株式市場は効率的に動くか非効率的に動くかの2つの意見がある

金融工学的に考えると、基本的に株式市場は常に効率的であり、株価の動きは確率的にしか予測できないとされています。

株式市場が効率的というのは、市場で株価に影響を与えるような情報は瞬時にして株価に織り込まれるので、誰か特定の人が、他の投資家と比べて大きな利益を上げることはできないという考え方です。

もし、株式市場が完全に効率的であるならば、割安な株が放置されていたりすることはなく、売られ過ぎ、買われ過ぎといった、テクニカルな指標で株価を予測することも不可能ということになってしまいます。

この仮説を信じている人にとっては、世の中にある様々な投資手法はほとんど意味がなく、理論上、市場全体が本来持っているリターン以上の結果を得ることはできないからです。

ですので、日経平均など市場全体を代表するインデックスに投資するのが最も良い投資であるという結論に至ります。

一方、著名な投資家であるジョージ・ソロスは、市場は人の心理に左右されるので、常に歪みが存在すると考えていおり、有能な投資家であれば、その歪みを利用して大きな利益を上げることができると主張しています。

また、当ブログでもご紹介しているウォーレン・バフェットも同じで、企業の財務諸表を穴があくほど読み込み、本来であればもっと高い株価になっているはずのお宝銘柄を探し出し、自らのポートフォリオに加えることで、高いパフォーマンスを得ています。

 

より安全(株価変動を抑えた)に長期投資をするならインデックス投資

株式市場が長期的に持つ期待リターンで良いと考えるのであれば、より広範囲(新興国や先進国など)に分散投資をし、尚且つ、日経平均やダウ平均などに連動するETFや投資信託のインデックス投資するのが、より安全(株価変動を抑えた)に投資ができ、市場リターンと同じ程度の結果が得られるはずです。

 

個別銘柄に長期投資する場合、正しく判断しなくてはいけないことが非常に多い

もし、株式市場が効率的でないと考え、割安な銘柄や、多少割高でも成長性が高いと思える個別銘柄に長期投資する場合、正しい判断をするために、知っておかなくてはいけないことは非常に多いです。

ウォーレン・バフェットをモデルとするならこちらの記事を御覧ください

うまくいけば、市場平均よりも高いリターンを得ることができるかもしれません。

しかし、その分、逆になる可能性もあり、市場リターンより悪い結果になることも考えられるので、より安全に長期投資をするなら、インデックス投資にすることをお勧めします。

 

経済の動き株価の動きは人間の心理が決定する

ある国の株価の動向は、最終的にはその国の長期的な経済動向との関連性が高くなります。

成長する国の株価は基本的に上昇を続けますし、成長しない国の株式のパフォーマンスは悪くなります。

当ブログでも、経済成長は、その国の人口や資本、または新しいテクノロジーなどによって変動すると述べてきましたが、それがなぜ、お金の動きを決定させるのかは、完全には解明されていません。

間違い無く言えることは、現時点でのお金の動きは、将来のお金の量の予想から決定される可能性が非常に高いということです。

 

政府の経済政策も中央銀行の金融政策もその効果は最終的に人間の心理によって変わる

例えば、将来インフレになると皆が考えれば、実際に物価が上昇し、結果的にお金を増やさざるを得なくなり、将来、お金の量が減ると多くの人が考えると、デフレとなり、結果的にお金の総量は減ってくることになります。

こうした動きを政府の経済政策や中央銀行の金融政策である程度、コントロールするこはできますが、人の心理を最終的にコントロールすることはできません

インフレやデフレによって経済環境が変わると、当然、ビジネス環境も大きく変化し、株式市場や為替市場なども大きく変化することになります。

 

投資初心者の方や上手く利益を上げれていない人こそ長期投資をするべき

長期投資にもそれなりのリスクはありますが、短期投資のリスクに比べると非常に小さいものと考えられます。

テレビや雑誌などでは、株式の短期売買で何億円も儲かった人などが大々的に報道されていますが、その裏にはそれ以上に損をしている人が溢れかえっているのです。

先ほど株価の変動をサイコロで例えましたが、短期投資で儲けた人は、たまたまサイコロの6の目が連続して出ただけです。それと同時にサイコロの1の目を連続して出してしまった人もいることを忘れてはいけません。

それにひきかえ、長期投資は短期投資の人と比べてより多くサイコロを振ることができます。多く振れるということは、1の目を連続して出す確率も低ければ、6の目を連続して出す確率も低くなります

ベンジャミン・グレアムの格言「絶対忘れてはいけない2つの投資のルール。1つ目は、負けないこと。2つ目は、1つ目のルールを忘れないことです。」

これを忠実に守るなら、どちらの投資法が良いかは一目瞭然です。

 

インデックス投資はプロの投資家と同じ銘柄に分散投資できる

日経平均やダウ平均などに連動するETFや投資信託のインデックス投資するのが、より安全(株価変動を抑えた)に投資ができると述べましたが、インデックス投資と一言で言ってもその内容は様々です。

インデックス投資で資産運用

こちらのブログは、インデックス投資の概要や、お勧めする銘柄など、非常にわかりやすいので私もよく拝見させていただいております。

 

まとめ

  • 長期的に株式投資をすると複利の法則が大きな利益をもたらす
  • 長期投資が必ずしも安全(絶対損はしない)とは限らない
  • 長期投資は株価変動のバラツキが小さくなる
  • 将来の期待リターンはどうなるかは誰にもわからないが今後もリターンは継続的に上昇する
  • 基本的に株価は上昇することが想定されている
  • 長期投資での最大のリスクは金融危機
  • 株式市場は効率的に動くか非効率的に動くかの2つの意見がある
  • より安全(株価変動を抑えた)に長期投資をするならインデックス投資
  • 個別銘柄に長期投資する場合、正しく判断しなくてはいけないことが非常に多い
  • 経済の動き株価の動きは人間の心理が決定する
  • 政府の経済政策も中央銀行の金融政策もその効果は最終的に人間の心理によって変わる
  • 投資初心者の方や上手く利益を上げれていない人こそ長期投資をするべき
  • インデックス投資はプロの投資家と同じ銘柄に分散投資できる

 

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