CFD・先物取引・オプション取引・カバードワラントの概要と税金(FXと損益通算できる)
前回のFXの税金の基本と節税方法・実は株式投資と損益通算できるでも触れましたが、CFD・先物取引・オプション取引・カバードワラントで発生した損益はFXで発生した損益と通算することができます。
取引の内容によっては損益通算できない場合もありますが、これらの取引を介せば株式投資の損益とFX損益を通算することが可能になります。
リスク軽減にも使えますし、短期的に取引する人や売り方の人は特に魅力的な投資方法ではないでしょうか?
そこで今回は、CFD・先物取引・オプション取引・カバードワラントの概要と税金を見ていきます。
CFDはFXとよく似た取引
CFDとは、投資家が証拠金を入れることで証拠金の一定倍の取引ができる取引です。
FXはCFDの外国為替版なので、CFDはFXと対して変わりません。
少額の金額でレバレッジをかけることができます。
実際のやり取りは、差金決済に金額だけで取引額面相当額の資金は必要としていません。
ですが、CFD取引で差金がマイナスだった場合には担保が必要です。
株式信用取引と似ているがより高いレバレッジをかけれる
CFDでの投資対象は個別株式、株価指数、商品先物などがあります。
株式信用取引とよく似ていますが、株式信用取引の最大レバレッジは3倍程度ですが、CFDは数十倍のレバレッジをかけることができます。
店頭取引がメインだが他にも様々な取引の仕方がある
業者との相対取引となる店頭取引がメインになります。
他にも東京金融取引所で行われているくりっく株365もあります。
このくりっく株365は、日経225やFTSE100など国内外の株価指数5銘柄に投資も可能です。
決算損益と配当などの合計に20.315%税金がかかる
CFD取引では、売買による決済損益や、取引によって配当・金利相当額を投資家が受け取ったり支払ったりします。
配当・金利相当額の受け取りと支払いについて、買いのポジションの場合は、配当相当額の受け取りと金利相当額の支払いになります。
売りでは、配当相当額の支払いと金利相当額の受け取りになります。
決算損益と配当・金利相当額の合計が雑所得になり、20.315%の税率で課税されます。
その他はFXと変わりません。
先物取引もレバレッジをかけれる取引
先物取引とは、期日に特定の商品を取引時点の約定価格で取引することです。
先物取引には、株価指数先物取引や債券先物取引、商品先物取引があります。
そして、先ほどのようにFXやCFDと同じで証拠金に対して一定倍(レバレッジ)の額面で取引ができます。
差金による利益に税金がかかる
先物取引の決済は反対売買による差金決済か、現物による受渡し決済になります。
反対売買による差金決済の場合ですと、損益は雑所得となり20.315%の税率で課税されます。
評価損益の発生時点では課税されない
反対売買するまでの評価損益の発生によって金銭の受払をすることもありますが、この時点で課税されません。
債券先物については非課税になる場合がある
債券先物については、買い建玉のまま、取引最終日まで反対売買をしない場合には、一定の計算額で受渡代金を支払ったうえで、現物の国債等を受け取る(現引き)ことができます。
この時点では所得は発生しません。
この時入手した国債等を売却しても、公社債の売却益は非課税とされているため課税されません。
売り建て玉のまま取引最終日まで反対売買をしなかった時は、手持ちの現物の国債などを渡して、一定の計算額の代金を受け取る(現渡し)ことができます。
この場合、国債の売却にあたりますので非課税です。
株価指数先物は強制的に差金決済される
株価指数先物については現引きや現渡しがなく、取引最終日まで反対売買しない時は一定の計算によって最終決済額での差金決済になります。
そのため、ここで利益を得ると課税されます。
オプション取引は権利の対価が売買対象となる
いつ、何を、いくらで売買するかの権利をオプションといい、その権利の取引をオプション取引と言います。
オプション取引の売買対象となる権利の対価のことをオプション料と言います。
株価指数・個別株式・国債先物・債券・外国為替が原資産
オプションの原資産には制限はありません。
原資産は、株価指数、個別株式、国債先物、債券、外国為替などが代表的で、取引には取引所取引と店頭取引があります。
反対売買による損益と権利放棄のオプション料に税金がかかる
オプションの清算方法は3種類あり反対売買、権利行使、権利放棄があります。
反対売買による損益は雑所得になり、税率20.315%です。
権利放棄は、支払オプション料・受取オプション料は反対売買による損益と同じです。
権利行使は譲渡所得として課税される
権利行使の場合は、コール・オプション(買う権利)の買い方の時には有価証券の現物を買うことになります。
権利行使の時点では非課税ですが、有価証券を売却すれば譲渡所得として課税されます。
この際に支払オプション料は取得価額の一部となります。
コール・オプションの売り方が権利行使を受けた場合は、原資産の有価証券の売却によって譲渡所得として課税になります。
そして受取オプション料は、譲渡収入に加算します。
プット・オプション(売る権利)の買い方が権利行使をした場合は、原資産である有価証券の売却に伴い譲渡所得として課税になります。
支払オプション料は譲渡収入からマイナスします。
プット・オプションの売り方が権利行使を受けた場合は、有価証券の現物を買うことになり、受取オプション料は所得価額からマイナスします。
カバード・ワラントはオプション取引と似た有価証券
カバード・ワラントとは、オプション取引と似た、決められた期間内に個別株や株価指数を、決めた価格で売買する権利を表した有価証券のことです。
オプション取引と似ていますが、カバード・ワラントはデリバティブ取引ではなく、有価証券の取引となります。
売り方の場合オプション取引のように無限の損失にはならない
オプション取引での売り方の場合は、無限の損失リスクを負いますが、カバード・ワラントの場合、投資家は最大でも無価値となるリスクまでしか負わない仕組みになっています。
eワラントでの取引がメインで株価指数やコモディティなどに投資できる
カバード・ワラントはeワラント(店頭取引)での取引がメインとなります。
eワラントの取扱がある証券会社でオススメなのはSBI証券です。
カバード・ワラントでも個別株に投資することができ、日経平均などの株価指数だけでなく、原油・金・銅などのコモディティなどへの投資もできます。
カバード・ワラントもFXと同様に雑所得として課税される
カバード・ワラントを満期前に譲渡した場合の譲渡損益は、FXと同様に雑所得として課税され、税率は20.315%です。
満期まで保有している場合(差金決済)も同様に、雑所得として課税されます。
株式の現物取引などとは損益通算できないFXでも損益通算し節税できる
株式の現物取引や信用取引での損益は、譲渡所得となります。
前回のFXの税金の基本と節税方法・実は株式投資と損益通算できるでも言いましたが、デリバティブ取引を利用した株式投資をすれば、雑所得となるFXと損益通算することができます。
FXをメインに投資している人で個別株式や株価指数にも投資したい場合は、現物取引や信用取引ではなく、FXと通算できるCFD、オプション、カバード・ワラントを利用するのが賢明だと思います。
この投資方法は、売り方や短期売買する人にオススメです。
またこのような投資方法は、株価の下落のリスク軽減のために使われることも多いです。
まとめ
- CFDはFXとよく似た取引
株式信用取引と似ているがより高いレバレッジをかけれる
店頭取引がメインだが他にも様々な取引の仕方がある
決算損益と配当などの合計に20.315%税金がかかる - 先物取引もレバレッジをかけれる取引
差金による利益に税金がかかる
債券先物については非課税になる場合がある
株価指数先物は強制的に差金決済される - オプション取引は権利の対価が売買対象となる
株価指数・個別株式・国債先物・債券・外国為替が原資産
反対売買による損益と権利放棄のオプション料に税金がかかる
権利行使は譲渡所得として課税される - カバード・ワラントはオプション取引と似た有価証券
売り方の場合オプション取引のように無限の損失にはならない
eワラントでの取引がメインで株価指数やコモディティなどに投資できる
カバード・ワラントもFXと同様に雑所得として課税される - 株式の現物取引などとは損益通算できないFXでも損益通算し節税できる