資産運用の理想的なポートフォリオの割合と不動産投資の必要性
老後資金など将来のための資産運用において投資をする際、老後資金のために投資・運用する時まず初めに考えなければいけないことでも述べましたが、換金性や流動性に問題がない、有価証券を中心として運用することが必須です。
では実際に、株式や不動産などのリスク資産や先進国の債券などの安全資産を、どのようなポートフォリオを組めばいいのでしょうか?
100 – 自分の年齢 = リスク資産の割合でポートフォリオを組む
株式や不動産などのリスク資産への投資の割合については、世界中で様々な議論がありました。
その中でも、アメリカでは、バートン・マルキール氏の推薦アセット・アロケーションが有名です。
マルキール氏は本も出していて、一般向け運用の手引きとしては歴史的名書と言われ、日本でも根強い人気があります。
マルキール氏は「個人は、それぞれのライフ・サイクルの段階に応じてリスク虚労度が異なることから、それに応じたポートフォリオを組むべきだ」と主張しています。
それは、歳をとって高齢者になるにつれてリスク資産の比率を減らして、債券や現金などの比較的安全な資産を増やすべきだと言っています。
また株式や不動産などのリスク資産への投資比率は、100 – 自分の年齢するべきという考え方もアメリカでは広まっています。
100 – 自分の年齢とは、投資資産100%から自分の年齢を引き算して、リスク資産の比率を決めるという方法です。
例えば、30歳なら金融資産の70%を株式で持ち、60歳なら40%を株式にするといったことです。
年齢別の理想的なポートフォリオは20代〜40代ならリスク資産の割合50%以上
マルキール氏が示すモデル・ポートフォリオを年代で分けると
- 25歳 = 100% – 25% = リスク資産75%・安全資産25%
- 35歳 = 100% – 35% = リスク資産65%・安全資産35%
- 45歳 = 100% – 45% = リスク資産55%・安全資産45%
- 55歳 = 100% – 55% = リスク資産45%・安全資産55%
- 65歳 = 100% – 65% = リスク資産35%・安全資産65%
この辺りが私たちにとっては資産配分の基本形であるとマルキール氏は考えています。
このように資産配分におけるリスク資産の配分割合は、20代から40代の間では50%以上が適切だと考えられます。
自宅を所有している人は不動産投資をしない方がいい
資産運用の理想的なポートフォリオを組む場合、不動産(自宅)を所有しているかいないかで大きく内容が変わってきます。
それは、自宅を買うということで、家という資産をポートフォリオの中に入れていることになるからです。
自宅を購入することが不動産に対する投資になっていると考えれば、運用ポートフォリオは違って見えてくるはずです。
不動産(自宅)はポートフォリオに含まれていると考える
例えば、1000万円の預貯金と3000万円の住宅ローン、時価4000万円の住宅を持っているとします。
住宅ローンで家を買うのはよくあることですが、投資の面で見てみればマイナスの預貯金と不動産資産という資産ポートフォリオを組み込むことになっています。
それは、その人の資産ポートフォリオは、金融資産がマイナス2000万円で不動産が4000万円、ネットの資産はプラス2000万円となっています。
資産全体の中で不動産の割合は200%になっており、ポートフォリオ理論による分散効果どころの話になっていません。
また何十年もかかってやっと定年になり、住宅ローンを完済して、預貯金と住宅ローンの時価は変わらなかったとします。
そうすると、金融資産が1000万円で不動産が4000万円になっています。
これらを見てみると自宅を持っている人が、資産運用においては不動産の資産に投資する必要がないということがわかります。
不動産への投資の割合は10%〜20%が理想的
理想的な運用ポートフォリオにおいての不動産への投資の割合は、20代から30代ですと10%、50代ですと12.5%、60代以降で15%となっています。
※アメリカの場合。
ですが、これは日本とアメリカでは事情が異なるため、そのまま実行するにしても理想的なポートフォリオにおいての不動産の割合は10%〜20%がいいところです。
例えば、4000万円の家を買うということは2〜4億円の総資産があって、初めて正当化され理想的なポートフォリオと言えます。
自宅を所有することは仕方ないかもしれないが新たな不動産投資を行う必要はない
戦後から日本では当たり前のようにローンで住宅を買ってきましたが、それが資産のほとんどを占めるようなポートフォリオに組み込むということは、純粋に投資の観点から見てみれば避けるべき投資行動と考えられます。
また自宅を持つということは精神的満足感や家族の拠り所としての価値がありますので、投資の観点からで判断するのは危険で乱暴すぎることは事実です。
ですが、既に自宅を持っていると、J-REITや不動産投資を含む投資信託を購入する必要性は全くないこともまた事実です。
自宅を資産として考えるなら株式などの割合が小さいことになる
そして不動産という資産を自宅としてポートフォリオの中に持っている場合は、全体の資産で他の資産の割合が目減りしていることに注意が必要です。
国内株式や外国株式の全体の割合も、実際にはこれよりはるかに小さいことになります。
だからと言って、資産見直しのために自宅を売却するわけにもいきませんで、自宅を持っている場合は、ポートフォリオにおいて株式関連の資産の組み込みが少ないことを自覚して、国内株式と外国株式に特化した運用を行うことをオススメします。
株式投資を中心とする資産運用が理想的なポートフォリオ
上記のように、不動産(自宅)を既に所有している状態で資産を運用する場合は、国内外の株式を中心として運用すればいことがわかりました。
例えば月々5万円ほど積み立てをする資産運用であれば、その100%を国内外の株式で投資すると、全体のポートフォリオでは妥当な投資行動と考えられます。
株式中心の運用は、ポートフォリオ理論では正しい運用なのです。
不動産を所有していないのならJ-REITやREIT(外国)を購入する
自宅や投資用マンションなど、不動産を所有していないのであれば、J-REITや海外REITを購入することをオススメします。
※もちろん、何億円も資産があるのであれば、投資用マンションなどを購入し、家賃収入を得る方法もありますが、ここでは一般的な人の考え方です。
REIT関連の記事はこちらです
REIT関連の記事は以前ご紹介させていただいたので、以下をご覧ください。
- 不動産を直接購入しなくても不動産投資できるREIT(リート)『J-REIT(J-リート)の歴史』
- 不動産を直接購入しなくても不動産投資できるREIT(リート)『REIT(リート)の基本』
- 不動産を直接購入しなくても不動産投資できるREIT(リート)『REIT(リート)の銘柄選び戦略』
- REIT(リート)ETFで資産運用してみよう『J−REIT(J−リート)実践 ETF銘柄選択』
- REIT(リート)ETFで資産運用してみよう『海外REIT実践・おすすめETF銘柄選択』
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マネックス証券は、外国株式(REIT)を購入する際に利用しています。特に、米国株式(REIT)の銘柄の取扱商品が豊富ですので、そこから世界中の外国株式(REIT)に投資することできます。
まとめ
- 100 – 自分の年齢 = リスク資産の割合でポートフォリオを組む
年齢別の理想的なポートフォリオは20代〜40代ならリスク資産の割合50%以上 - 自宅を所有している人は不動産投資をしない方がいい
不動産(自宅)はポートフォリオに含まれていると考える
不動産への投資の割合は10%〜20%が理想的
自宅を所有することは仕方ないかもしれないが新たな不動産投資を行う必要はない
自宅を資産として考えるなら株式などの割合が小さいことになる
株式投資を中心とする資産運用が理想的なポートフォリオ - 不動産を所有していないのならJ-REITやREIT(外国)を購入する
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