年金は人生で1位2位を争うほどの大きな買い物

人間は生きていれば誰にでも老いはきます。
その人生の中でセカンド・ライフを豊かに送りたいと思うのは当然でしょう。
そのためには、安定した金銭的基盤が必要です。
その豊かにするセカンド・ライフを実現するには年金制度がありますが、今危機にさらされています。
年金制度とは40年間にも及ぶ長期の金融行動
年金制度とは、20代から50代にかけて現役時代の間に保険料を支払い、老後の60年から年金を受け取ることができます。これは人生の超長期の金融行動です。
住宅ローンよりも長く資金を集め、それを運用し、支給されます。
その基礎にあるのが加入者管理です。
ですが、加入者管理により年金の記録がなくなったり、誰のものかわからなくなったりということが起こっています。
これにより日本の年金制度は危機的状況になっています。
年金とは受講権を買うという行為(買い物)
例えば車を買う、住宅ローンで家を買うといった投資行動は、事前に様々なことを調べ資金調達方法を検討するはずです。
また年金も車や住宅といった大きな買い物です。
超長期にあたり支払いをして、老後に受け取ることができる受講権という権利を買います。
その受講権は貨幣価値で5000万円にも上がる大きな買い物です。
自分自身で何を買っているのか、またその対価としての保険料は適正なのか、老後は豊かに過ごせるのかを考えなければなりません。
ですが、年金の話になるとあまり考えていない人が多いです。
それは年金が超長期の買い物だからです。
人間は人生のほとんどの買い物については短期だけのことは考えますが、超長期の買い物はそうはないからです。
年金の仕組みも理解しなければなりません。
公的年金は納める期間に応じて給付額が変わるが納めた保険料は返ってこない
日本では公的年金は社会保険式で、世帯間扶養という考えで制度が作られたのが特徴です。
社会保険式とは、一人ひとりが保険料を出してそのあと年金給付を受けます。
そのため現役の時に保険料を納めなければ、年金はもらえないですし、納めた期間が長ければ年金の金額も増えてきます。
ですが、納めた保険料がそのまま返ってきません。
年金は高齢者世代を支えるという考え方でできていますので、個人に全て返ってくるわけではないのです。
保険料を納付し、高齢者を支える仕組みは全員でルールを守ることにより私的な扶養の不安定性やトラブルを避けることができます。
現役時代で納めた金額を高齢者に配分することにより、実質価値を維持したまま保証することが可能です。
年金は、老後の準備に向けての制度です。
ですが最近では少子高齢化が進み、若い世代の負担が大きという問題があります。
そのため若い世代の人々から不満や不信感が出てきています。
国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人が対象
次に国民年金ですが、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が対象になっています。
国民年金が基礎にあり、その上に厚生年金や共在年金があります。
さらに国民年金基金や厚生年金基金が細分化されています。
多くの国民は国民年金か厚生年金から、年金を支給されます。
ですが受け取るためには資格が必要です。
それは25年間以上納付している人です。
65歳で老齢基礎年金が国民年金から支給されます。
年金を受け取る額を増やしたい人は、国民年金基金に加入し、追加で保険料を支払うことで増やすことができます。
支払う保険料ですが、第1被保険者が加入している国民保険は、2006年4月から毎年280円ずつ引き上げられています。
また第2被保険者は2004年10月から毎年給料の0.354%ずつ引き上げられています。
例えば月給30万円の人は、毎月約4万5000円を保険料として支払わなければなりません。
年金給付額はとても曖昧なもの
厚生年金や年金給付額は、標準報酬月額で決められます。
標準報酬月額は、毎年4月から6月に支払われた平均賃金を、9万8000円から62万までの30等級に当てはめています。
こうして年金保険料を支払っていますがそれと年金が見合っているのかという疑問が多く聞かれます。
年金を支払った時期や期間、その時の物価などで受け取る額を比べるのは難しいです。
そのため老後に受け取れる年金の金額と現役時代が受け取る給与水準に比べて基準にして設計されています。
年金制度改革によれば、所得代替率は50%を上回る水準を確保することとされています。
所得代替率とは、現役時代のボーナスこみの収入金額と年金受給世代の値を表す数値で、年金だけでどれだけの生活水準が確保できるか知ることができます。
例えば現役時代の平均月収は55万8000円に対して、平均的世帯の年金受給額は28万円と現役時代の半分になっています。
そして老後に現役の約4割の収入で生活をしなければなりません。
例えばで言いましたが年金制度は、数十年後に私たちが実際に年金をいくらもらえるかは、はっきりとはわからないのが現実です。
年金給付額が曖昧な理由は出生率・寿命・運用利回り
なぜわからないかというと様々な要因があります。
- 出生率
出生率が低下すると保険金を支払う立場になると、保険収入が減るため年金の額は低下します。 - 寿命
年金は給付される人が亡くなるまで払われるため、寿命が延びると年金給付費が増えていき、所得代替率は低下します。 - 運用利回り
年金保険料は超長期にわたって運用されますが、運用利回りが下回ると運用収入が減少し、所得代替率は低下します。
そしてこれらの主な要因によって変化していきます。
ですので、今後の年金には安心できないです。
政府の年金制度改革で保証しているのは、年金をもらい始めた時点での現役世代の平均手取りの50%の確保であって将来にわたって50%を保証しているものではないのです。
すでに年金給付を受けている高齢者はリスク資産に投資する必要はあまりない
老後に必要な資金は、一般的に退職時の退職金や預貯金などの資産があり、逆に負債もあります。
その差額のことを定年時純資産と言います。
この定年時純資産と公的年金の合計を定年後の必要資金と比較することで試算できます。
試算をすることによって一般論でいえば、慣れない資産運用や金融商品への投資をしなくても、老後は金銭面の不安はあまりないのだと思います。
最近は、高齢者を狙って金融機関がアプローチをかけています。
それが不安心理を煽って、株式や投信などを進めていますが、高齢者はあまり必要ないです。
もし投資をするのなら、高齢者の人たちの運用資産においては安全・確実といった安全第一として、国債などの元本保証があるものでの運用がオススメです。
まだ年金給付を受けていない現役時代の人々は株式などに投資する知識を身につけなくてはならない
一方、現役時代の人々は状況が全く違います。
それはセカンド・ライフでどれだけの資産を集めることができるかです。
それは運用資産の出来不出来で人生の経済的な質を決まるからです。
豊かなセカンド・ライフを送るには年金だけでは不十分
セカンド・ライフではどのくらい資産が必要か試算してみますと、例えば必要な資金を8500万円とします。
そこで平均生活費である月24万2000円でセカンド・ライフの資金を計算しますと父を60歳、母を56歳とした場合、父が亡くなるまでの22年間で6389万円。
母の生活費を2人の合計の7割とすると、10年間で2033万円になります。
父と母の合計は約8500万円になり、これが生活のために必要な最低資金になります。
さらにお互い長生きをすると、これ以上の資金が必要になることがわかります。
そして理想のセカンド・ライフを送りたい場合には、必要とされている月38万円で計算すると、約1億3200万円になります。
政府も資産運用する金融知識や運用技術を身につけるよう促している
最近では、政府の動きが一貫した流れが底流にあることがわかります。
それは、年金などの社会保険のレベルを維持するのが難しいことやセカンド・ライフでは個々の努力に頼らなければなりません。
それには、金融知識や運用技術を身につけてもらうしかないです。
また、金融機関に商品の競争を促す必要があるでしょう。そして商品のリスクについては徹底的にする必要があります。
今現役で頑張っていてもこの先老後はどうなっているかわかりません。
ですが、普通の市民の家計もこうした事態が起こっても少しずつですが、対応していってます。
従来の個人金融資産は、預金中心で株式や投資信託といったリスク性のある商品への資金流入は限られていましたが、こうした商品へ少しずつ資金が向かっています。
リスクのある資産での運用は高い利回りが期待できますが、元本割れのリスクもあります。これこそ自己責任原則のルールなのでしょう。
年金は、少子高齢化が進めば進むほど若い世代が辛い思いをします。
そこで若い世代は年金がもらえないから保険料は未納・未払いにするなど、国は信用できないから年金制度は廃止するべきだと不安・不満の意見が出てきます。
ですが、国が行っている年金性質金の運用は、理論や考え方は基本的には正しいと思います。
具体的には、年金の運用はトレーディング型の運用ではなくインベストメント型の運用にするべきだと思います。
そして基本の考え方は、複数の資産に分散投資することによってリスクを抑え、リターンを安定させるポートフォリオ理論があり、このように国が行っている年金の運用は、基本的な考え方やそれによる理論は正しいと思います。
ですが実際には若い世代からは不安があり、運用には不満が残っています。
まとめ
- 年金制度とは40年間にも及ぶ長期の金融行動
- 年金とは受講権を買うという行為(買い物)
公的年金は納める期間に応じて給付額が変わるが納めた保険料は返ってこない - 国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人が対象
- 年金給付額はとても曖昧なもの
年金給付額が曖昧な理由は出生率・寿命・運用利回り - すでに年金給付を受けている高齢者はリスク資産に投資する必要はあまりない
- まだ年金給付を受けていない現役時代の人々は株式などに投資する知識を身につけなくてはならない
豊かなセカンド・ライフを送るには年金だけでは不十分
政府も資産運用する金融知識や運用技術を身につけるよう促している