外国への株式・債券・投資信託などの投資に関わる税金(国内への投資と損益通算もできる)
日本の株式投資や預金、債券投資など全て利益が出ると課税されます。
外国の株式投資や債券投資なども例外はなく、日本で受取った時必ず課税されます。
外国へ投資する人は必ずそれに関わる税金の知識を持たなくてはいけません。
そうすることで、日本の株式投資などと損益通算もできますし、より節税に繋がるのではないかと思います。
外国への投資の税金の計算は複雑なもので難しいイメージはありますが、近年、外国への投資でも特定口座に入れて取引できる証券会社も増え、税金の計算が簡単に行えるようになりましたので、是非この機会に覚えていただければと思います。
外国株式は日本の上場株式と同じように課税されるが配当が少し複雑
外国株式について証券会社等を通じて売却した時の税金は、日本の上場株式等と同じです。
ですが取得も売却なども外貨建てで行うので、取得額・売却額の円貨に換算する必要があります。
取得価額は外貨建ての取得価格に約定日のTTS(対顧客電信売相場)をかけて円貨換算します。
そして売却額は、外貨建ての売却額に約定日のTTB(対顧客電信買相場)に掛けます。
譲渡益は日本の上場株式と同じく20.315%で課税され損益通算・繰越が可能
外国株式の譲渡益は、外国では一般的には非課税となり、日本で受取った時、税率20.315%で課税されます。
また確定申告は申告分離課税になりますが、特定口座(源泉徴収あり)に入れて源泉徴収だけにすることもできます。
特定口座に入れることができるかは証券会社などに確認が必要となります。
損失の場合も国内上場株式などと同様に、損益通算や繰越が可能です。
外国株式の配当金はその国の所得税課せられる
外国株式の配当はその国の所得税(外国所得税)が強制的に取られます。
税率は国によって違いますが、例えば米国なら10%です。
さらに日本では、外国所得税を引いた額の20.315%が源泉徴収された額が入金されます。
また確定申告は国内株式の取り扱いと同じです。
そして申告する場合の配当収入は、外国所得税控除前の配当額になります。
外国税額控除(後ほど説明します)を適用することで、外国所得税を日本で支払う税金から差し引くこともできます。
外国債券の税金は利子・譲渡益・償還差益全てに課税される
利付外国債券ではゼロ・クーポン債、デュアル・カレンシー債などの特殊な外国債券の税金があります。
利付外国債券の利子は、外国所得税が源泉徴収されていないことが多いです。これは国によっては徴収されることもあります。
日本では20.315%で源泉分離課税になり(円換算は証券会社がします)、確定申告は必要ありません。
外国所得税が源泉されている時は、外国所得税と合わせて20.315%になるように源泉税額が合わせられます。これを差額徴収方式と言います。
また外国所得税が10%を超えると10%として源泉税額を計算します。
譲渡益は日本でのみ課税される
利付外国債の譲渡益は、外国では一般的に課税されません。
日本では金融所得課税の一体化により申告分離課税(20.315%)になります。
償還差益は日本で課税され時に外国所得税も課せられることもある
日本の利付外国債の償還差益は申告分離課税(20.315%)になります。
また償還差益に対して外国所得税がかかることもあります。
この場合は外国税額控除の対象になります。
ゼロ・クーポン債の譲渡益・償還差益に課税される
特殊な外国債券のゼロ・クーポン債は、額面から大幅に引いた金額で債券を発行することで利回りを高めます(利子はつかない)。
ゼロ・クーポン債は国内では見かけませんが、海外ではよく発行されています。
また売却した時の譲渡益・償還差益は申告分離課税(20.315%)になっています。
デュアル・カレンシー債も利子・譲渡益・償還差益に課税される
デュアル・カレンシー債は、払い込み金・利子と償還金の通貨が異なる債券のことです。
利子については基本的には申告分離課税(20.315%)が適用されています。
※特定口座(源泉徴収あり)に入れることも可能。
また譲渡益・償還差益についても申告分離課税(20.315%)が適用されています。
サムライ債・ディスカウント債・世銀債も国内債券と同じに課税される
外国の政府や企業が日本で発行した債券のうち、円建てのものをサムライ債といいます。
利率が低く抑えられている一方、発行価格が償還価格よりも低い外国債券のことをディスカウント債といいます。
これらの債券の利子・譲渡益・償還差益は全て国内債券と同じように取り扱われています。
世銀債(国際復興開発銀行債)のうち、国外にて発行されたもので、その利子を国内にて証券会社を通じて受け取る時も同じです。
外貨MMF 外国公社債・株式投資信託も20.315%課税される
外貨MMFは、分配金は20.315%の源泉分離課税となり、確定申告は不要です。
日本円に転換した時の譲渡益(為替差益)については20.315%の申告分離課税となります。
新興国の高利回り債券に投資するファンドなどの外国公社債投資信託は、分配金は20.315%の源泉分離課税となり、確定申告は不要です。
譲渡益については20.315%の申告分離課税となります。
外国株式投資信託の分配金も、20.315%の源泉分離課税となり、確定申告は不要です。
譲渡損益は外国株式と同様の税制となります。
外国への様々な投資は特定口座入れて取引するべき
外国株式、外国債券、外国投資信託などは税金の計算がとても複雑です。
そこで、可能な限り特定口座に入れて取引することをオススメします。
そうすることで、税金の計算が簡素化できますし、繰越控除などの処理もしやすくなるのではないかと思います。
外国株式や投資信託などの特定口座に対応しているオススメ証券会社
外国税額控除は日本との二重課税を避けれる
外国税額控除とは、配当などに対して外国所得税が課税されている場合に、日本との二重課税を避けるために、外国所得税を国内の所得税・住民税から差し引けることです。
これを適用するには、確定申告が必須です。
確定申告の際には、外国税額控除に関する明細書が必要で、外国所得税が課税されたことを証明できる書類となり、確定申告書に添付しなくてはいけません。
まとめ
- 外国株式は日本の上場株式と同じように課税されるが配当が少し複雑
譲渡益は日本の上場株式と同じく20.315%で課税され損益通算・繰越が可能
外国株式の配当金はその国の所得税課せられる - 外国債券の税金は利子・譲渡益・償還差益全てに課税される
譲渡益は日本でのみ課税される
償還差益は日本で課税され時に外国所得税も課せられることもある
ゼロ・クーポン債の譲渡益・償還差益に課税される
デュアル・カレンシー債も利子・譲渡益・償還差益に課税される
サムライ債・ディスカウント債・世銀債も国内債券と同じに課税される - 外貨MMF 外国公社債・株式投資信託も20.315%課税される
- 外国への様々な投資は特定口座入れて取引するべき
- 外国税額控除は日本との二重課税を避けれる