株式投資での税金の種類や源泉徴収ありなしの違いと節税
株式投資をする上で切っては切れない税金。
計算や申告が面倒だからといって、源泉徴収ありにしたままほったらかしという方は、知らず識らずのうちにとんでもない額のお金を損している(税金を多く払っている)場合もあります。
前回は、株式投資の税金の基本を述べさせていただきましたが、今回は、具体的に踏み込んだ税金の種類や源泉徴収ありなしの違いや節税を述べさせていただきます。
特に、多くの人が選択している特定口座で源泉徴収ありの人は、必ず目を通しておくことをオススメ致します。
譲渡所得の税金の計算は総合課税と申告分離課税で違いがある
譲渡所得の税金の計算は申告分離課税によって行われます。
その中に総合課税、申告分離課税があります。
総合課税は給与所得や事業所得などと合算して税金を計算
総合課税は、一年間の所得を10種類に分けて所得の分類に応じて税金の計算をします。
それは給与所得や事業所得、不動産所得を合算した上で、所得控除などを行って所得税率を乗じて税額を計算します。
所得税・住民税の合計税率は、課税対象となる所得(課税所得)の金額に応じて約15〜55%です。
申告分離課税は譲渡所得のみで税金を計算する
申告分離課税は、総合課税の税金の計算とは切り離して、譲渡所得のみで税金を計算します。
一年間の譲渡収入から所得価額等を差し引いて計算する譲渡所得に対して税率を乗じます。
源泉徴収ありとなしでは源泉徴収なしの方が断然得をすることが多い
源泉徴収ありとなしで比較すると、手間だけで見ると源泉徴収ありの方が確定申告不要で楽なのですが、売却損を出してしまったり、売却益が出たとしても20万円以下なら無駄な税金を払ってしまう可能性が高くなります。
一方、源泉徴収なしの場合、確定申告する手間はかかりますが、売却益が出てもその都度税金を引かれることはありませんので、投資する金額が源泉徴収ありより多く、再投資回せたりしますので、投資パフォーマンスがより期待できたりもします。
源泉徴収ありは自動で税金を払ってくれるが損をする確率が高い
特定口座の源泉ありを選択した場合は、金融機関が譲渡所得や税金の計算から納付までの手続きをしてくれます。
ですので源泉なしを選択する必要がないと思いますが、同じ特別口座でも源泉なしの方がいい場合もあります。
源泉徴収ありは無駄な税金を払ってしまう可能性がある
一般的には源泉ありの方が楽でいいのですが、源泉ありにすると納税をしなくていい税金を取られることがあります。
それは年間の譲渡所得が20万円以下の場合、申告や納税はいらないにもかかわらず源泉徴収されます。
源泉徴収なしは確定申告の手間は少しかかるが投資パフォーマンスが期待出来る
例えば売却益が100万円の場合、源泉ありだと税金が自動的にひかれて手元には80万円くらいが売却益です。
ですが源泉徴収なしだと、税金は差し引かれずに100万円が手元に入り、再投資できます。
投資にまわせるお金が多いのは源泉徴収なしです。
そして源泉徴収なしは年末に特定口座年間取引時報告書が送られてきますので売買損益の計算を省くことができます。
ちなみに、源泉徴収ありなしの変更はその年の最初の取引や配当金受入時までなら変更できます。
源泉徴収ありなし共に特定口座で取引している人は年間取引報告書が交付される
そして特定口座を開設している投資家には、特定口座年間取引時報告書が証券会社などから交付があり、特定口座年間取引報告書には源泉徴収税額などが記載されています。
それは税務署などにも提出されています。
源泉徴収なしは確定申告が必要な場合があるので注意
特定口座年間取引報告書には、表題部と譲渡損益や配当などが記載されており、見方ですが、
表題部では源泉徴収選択の欄で源泉ありでは問題ないですが、源泉なしの場合は確定申告が必要な場合がありますので申告漏れに注意してください。
譲渡損益は、源泉徴収税額の欄があり所得税や住民税などが記載されています。
それは確定申告をする際に必要なデータとなります。
配当も計算されて記載されている
配当ですが、それぞれの年間合計額が記載されおり、譲渡損失がない場合には配当・源泉徴収税額の年間合計額になります。
年間取引報告書は複雑な譲渡損失を計算してくれる
特定口座の優れているところは、同一特定口座に譲渡損失金額がある場合は、その金額が表示されます。
譲渡損失を配当から差し引いた金額が表示され見やすくなっています。
譲渡損失の通算には3つの順番がある
譲渡損失の取り扱いですが、売買損益の年間トータルが譲渡損失だった場合などの通算の順番が決まっています。
1つ目は、上場株式の譲渡損失は非上場株式の譲渡所得や他の株式の所得と通算します。
また上場株式等の譲渡による譲渡所得とも通算することができます。
2つ目は、1つ目の通算が終わりましたら上場株式の配当の通算が行われます。
これは非上場株式の配当とは通算できません。
上場株式等の配当であれば通算することができます。
これは見落とすことがあるので注意してください。
配当との通算のためには申告分離課税を選択しなければなりません。
3つ目は配当などの通算の後の残高ですが、3年間は繰り越すことができます。
最終的に譲渡損失が出た場合損失を翌年以降に繰り越せる
年間取引報告書で通算された後、最終的に譲渡損失が出てしまった場合、3年間繰り越せることを譲渡損失の繰越切除と言います。
また繰り越せるのは上場株式等に含まれる金融商品です。
その金融商品は、上場株式、上場新株予約権付社債、公募株式投信、ETF、上場REIT、外国上場株式などです。
これらの手続きは確定申告書付表の明細書の添付が必要です。
譲渡損失を配当金と通算すると節税になる場合がある
上場株式等の配当にかかる税金は、20.315%の源泉徴収のみです。
これは基本的には確定申告は不要です。
ですが譲渡損失との通算では確定申告を選択することができます。
確定申告するかどうかは、配当ごとに選択できます。
確定申告の有利と不利では、課税所得が695万円以下では総合課税+配当課税を選択した方が税率では有利です。
配当で総合課税を選択すれば配当金などの収入を配当所得で申告できます。
また総合課税+配当課税を選択すれば、配当の分だけ所得が増えます。
ですが節税額以上に国民健康保険が上がってしまう場合もあります。
特定口座で配当を受け取ると譲渡損失と配当金との通算をしてくれる
特定口座で配当を受け取る場合は、株式数比例分方式を指定します。
そうすると特別口座で源泉徴収をしてくれて譲渡損失と配当金との通算を確定申告なしでできます。
源泉徴収ありでも確定申告すれば節税出来る4つのケース
特定口座で源泉ありでは金融機関が納税までしてくれますが確定申告をすればさらに節税できる場合もあります。
- 他の特定口座の譲渡益と通算することで、特定口座で源泉徴収されている税金の還付ができます。
- 他の特定口座配当と通算すれば、特定口座で受け取った配当の源泉徴収税額の還付ができます。
- 他の一般口座の譲渡損と通算することで、特別口座で受け取った配当の源泉徴収されている税金の還付ができます。
- 配当金を特別口座で受け取っていない場合は、通算することで配当金か引かれている源泉税の還付ができます。
まとめ
- 譲渡所得の税金の計算は総合課税と申告分離課税で違いがある
総合課税は給与所得や事業所得などと合算して税金を計算
申告分離課税は譲渡所得のみで税金を計算する - 源泉徴収ありとなしでは源泉徴収なしの方が断然得をすることが多い
源泉徴収ありは自動で税金を払ってくれるが損をする確率が高い
源泉徴収ありは無駄な税金を払ってしまう可能性がある
源泉徴収なしは確定申告の手間は少しかかるが投資パフォーマンスが期待出来る - 源泉徴収ありなし共に特定口座で取引している人は年間取引報告書が交付される
源泉徴収なしは確定申告が必要な場合があるので注意
年間取引報告書は複雑な譲渡損失を計算してくれる - 最終的に譲渡損失が出た場合損失を翌年以降に繰り越せる
- 譲渡損失を配当金と通算すると節税になる場合がある
特定口座で配当を受け取ると譲渡損失と配当金との通算をしてくれる - 源泉徴収ありでも確定申告すれば節税出来る4つのケースがある