ウォーレン・バフェットが勧める高利回りの長期投資法『数字で見るフォーカス投資の優位性』
フォーカス投資は、リスクを小さくするために、安全なマージン(本質的価値と現在の株価の差)が十分にあるときにだけ、株式を買います。
また、確率の高い少数の銘柄にポートフォリオを集中させることが、リスクを引き下げるだけでなく、市場をはるかに上回るリターンを生み出すことに繋がります。
しかし、フォーカス投資を実践している投資家は非常に少なく、その成功事例には、統計上の異常値にすぎないという意見の人も多く存在するのも確かです。
そこで今回は、フォーカス投資のポートフォリオを、統計学の研究所で算定したデータを使い証明した結果をご紹介します。
※フォーカス投資とは何か?は、ウォーレン・バフェットが勧める高利回りの長期投資法『フォーカス投資の基本』こちらをご覧下さい。
無作為に組み合わせた規模の異なる1万2000件のポートフォリオを見てみるとフォーカス投資の優位性がわかる
株式リターンに関するデータベースを使い、測定可能な売上高、利益、自己資本利益率がわかる1200社を抽出し、コンピューターを使ってこれらを無作為に組み合わせ、規模の異なる1万2000件のポートフォリオを次のように組成します。
- 250銘柄で構成するポートフォリオ3000件
- 100銘柄で構成するポートフォリオ3000件
- 50銘柄で構成するポートフォリオ3000件
- 15銘柄で構成するポートフォリオ3000件(フォーカス投資)
次に、1987年から1996年までの10年間の各ポートフォリオの平均リターンを計算し、4つのグループのリターンを、同じ期間の市場全体の代表としてS&P500と比較しました。
- 250銘柄で構成するポートフォリオでは、リターンの最高は16.0%、最低は11.4%、その差0.65%
- 100銘柄で構成するポートフォリオでは、リターンの最高は18.3%、最低は10.0%、その差1.11%
- 50銘柄で構成するポートフォリオでは、リターンの最高は19.1%、最低は8.6%、その差1.54%
- 15銘柄で構成するポートフォリオでは、リターンの最高は26.6%、最低は6.7%、その差2.78%(フォーカス投資)
これらの結果から浮かび上がった大きなポイントは、ポートフォリオを構成する株式の数を少なくすると、市場より大きなリターンを生み出す確率が上がるということです。
しかし、当然ですが、同時に市場より低いリターンになる確率も上がります。
フォーカス投資は市場に勝てる確率が格段に上がる
次に、それぞれ3000件づつのデータが、市場を上回った件数を見てみます。
- 250銘柄で構成するポートフォリオ3000件のうち、市場を上回ったのは63件
- 100銘柄で構成するポートフォリオ3000件のうち、市場を上回ったのは337件
- 50銘柄で構成するポートフォリオ3000件のうち、市場を上回ったのは549件
- 15銘柄で構成するポートフォリオ3000件のうち、市場を上回ったのは808件(フォーカス投資)
250銘柄のポートフォリオの場合、市場に勝つチャンスは1対50ですが、15銘柄のポートフォリオの場合は1対4に上がります。
これらのデータには取引コストと銘柄選択が考慮されていないのでフォーカス投資の優位性はデータより高くなる
この研究データは取引コストを考慮していません。ポートフォリオの回転が高ければ、取引コストも上がるので、コストが上がれば、投資家のリターンは引き下げられます。
また、賢い銘柄選択も重要ですので、フォーカス投資をしていても、銘柄選択の腕が悪ければ、結果は悪くなりますが、適切な銘柄を選ぶ技術を身につければ、最高の選択をしたポートフォリオにフォーカス投資することで、さらに大きな利益が得られることになります。
まとめ
- 無作為に組み合わせた規模の異なる1万2000件のポートフォリオを見てみるとフォーカス投資の優位性がわかる
- フォーカス投資は市場に勝てる確率が格段に上がる
- これらのデータには取引コストと銘柄選択が考慮されていないのでフォーカス投資の優位性はデータより高くなる