預金・外貨預金・公社債(債券)・金にかかる税金を知り節税する
比較的安全資産とされている、預金・外貨預金・公社債(債券)・金も、株式やFXと同様に課税されます。
それほど評価額に動きはないのですが、しっかり知っておかないと思わぬところで申告漏れをしてしまったり、額が大きければ脱税と捉えられかねません。
また、損失を出してしまった場合でも、その他の投資先の利益とも損益通算できる場合もありますので、しっかり把握しておきましょう。
特に、2016年から税制が変更された特定公社債等は目を通しておいた方がいいと思います。
日本円での預金は利子、外貨預金では利子と為替差益に税金がかかる
通常の預金(日本円)での預金の税金は、所得の種類では利子所得に分類されます。
そして預金の利子にかかる税金は税率20.315%で、源泉分離課税ですので確定申告は必要ありません。
外貨預金では円換算した利子に税金がかかる
外貨預金で為替予約なし(為替変動リスクあり)の場合ですと、預金利子と元本部分で取り扱いが違います。
そして為替予約なしの場合もありの場合も、預金利息は、為替レートで円換算してその額の20.315%が源泉分離課税の対象になります。
為替差益にも税金がかかり確定申告が必要
外貨預金の元本については、為替相場の変動次第で為替差損益が出ることがあります。
また為替差益が生じた場合は確定申告が必要になります。
為替差損が生じた場合は確定申告は不要ですが、他に雑所得(年金収入など)がある時は損益通算が可能で、給与所得などの他の所得とでは通算できません。
マル優という制度を適用すれば元本350万円まで非課税にできる
マル優は、障害者や遺族基礎年金などを受けている妻などが、預金・公社債・公社債投信・貸付信託などにマル優を、利付国債・公募地方債などに特別マル優を適用すれば元本350万円まで利子や分配金が非課税になります。
2016年から国債・地方債・上場公社債・公募公社債投信の税金が変わった
2015年までは、公社債の利子は利子所得に分類され税率20.315%で源泉分離課税が適用されたり、償還差益は雑所得になったり、譲渡益は非課税であったり、としたのですが、2016年以降、金融所得課税の一体化がされ、金融証券税制が大きく変わりました。
具体的に、国債・地方債・上場公社債・公募公社債投信などを特定公社債等と新たに分類し、これらに対する税金が、上場株式と同じ扱いになります。
特定公社債等の新たに設定された6つの具体的内容
- 特定公社債等の利子所得
源泉分離課税の対象から除外されて、20.315%の申告分離課税の対象となりました。 - 特定公社債等の譲渡損失
上場株式などの譲渡損失との損益通算と繰越控除の対象になり、特定公社債等の譲渡損失が加えられました。 - 特定口座の取扱い
特定公社債等を特定口座に入れることができるようになりました。 - 一般公社債等の利息
特定公社債等に該当しない一般公社債等の利子については、従来通り20.315%の源泉分離課税のままです。 - 割引債の源泉徴収
発行時の源泉徴収が廃止され、償還時に源泉徴収され、20.315%の申告分離課税の対象となりました。 - 損益通算・繰越控除
株式および公社債について、1・上場株式等、特定公社債等のグループ、2・非上場株式等、一般公社債等のグループに分けられ、グループ外との損益通算・繰越控除ができなくなりました。
※上場株式と非上場株式との損益通算・繰越控除の廃止
金(現物)を売った場合売却益が一定の条件を超えると申告の必要がある
金のアクセサリーや投資目的で保有している地金や金貨を売却し、売却益が出ると譲渡所得となり、一定の条件を超えると申告が必要となります。
金以外の貴金属や書画、骨董品も同様です。
申告が必要な条件は取得日(購入日)からの年月で変わる
申告が必要となるのは、給与(一箇所)か公的年金のみ収入がある方は、売却益の年間合計額が、売却日が取得日から5年以内だと70万円を超えた場合、5年以上なら90万円を超えた場合です。
複数の収入源がある方は、売却益の合計金額が50万円を超えた場合です。
売却額が30万円以下だと無条件で非課税
金の売却額(売却益ではなく)が1つ(1組)あたり30万円以下の場合には非課税扱いになります。
金の売却益の税金は給与所得と合算して計算される
金の売却益による譲渡所得の計算には、まず、金の取得価格が必要になります。
もし取得価格が分からない場合は、買った価格が売った価格の5%未満のには、売った値段の5%を取得価格とみなして計算します。
課税される金額は5年以内と5年を超える期間の売却益で変わる
売却した日が、金の取得日から5年以内の場合は売却益から50万円を差し引いた金額で、金の取得日から5年を超える場合は売却益の半分を、給与所得などと合算して税金を再計算して申告します。
金の売却で損失を出してしまった場合は他の譲渡所得と損益通算できる
もし、金の売却で損失を出してしまった場合は、他の総合課税扱いの譲渡所得があれば、それと損益通算することができます。
しかし、売却益は給与所得に加算されるのですが、売却損の場合は給与所得を含む他の区分の所得と損益通算することができません。
金のように生活に必要でない資産の売却損は、他の所得と通算できないとされているのです。
まとめ
- 日本円での預金は利子、外貨預金では利子と為替差益に税金がかかる
外貨預金では円換算した利子に税金がかかる
為替差益にも税金がかかり確定申告が必要 - 2016年から国債・地方債・上場公社債・公募公社債投信の税金が変わった
- 金(現物)を売った場合売却益が一定の条件を超えると申告の必要がある
売却額が30万円以下だと無条件で非課税
課税される金額は5年以内と5年を超える期間の売却益で変わる
金の売却で損失を出してしまった場合は他の譲渡所得と損益通算できる