新しいテクノロジーバブルに上手く乗るための方法『市場シェア10%台を狙おう』
前回お伝えしたテクノロジーバブルの熱狂と幻滅を見極め投資するタイミングを考えるで述べた通り、テクノロジーバブルには熱狂と幻滅を経て、世界に普及するというメカニズムがあることが分かりました。
そこで、実際に投資するとなると、今がどのタイミングなのかを判断しなくてはいけません。
それには、市場シェアを見極める方法があります。
マーケティングの世界で使われるS字カーブを見極める
マーケティングで使われるS字カーブとは、新しい技術がどのようなタイミングで市場に受け入れられ、シェアを広げていくのかという経験則を体験化した指標です。
前回お伝えした、ハイプカーブは市場の期待値に関する指標でしたが、S字カーブは、より具体的な市場での普及率をベースにした考え方です。
市場での普及率が何%なのかという情報を頼りに、技術の進歩状況を把握しようというものです。
新しいテクノロジーの普及率はS字カーブを描いて上昇する
マーケティングで使われるS字カーブの理論では、新しい技術やサービスの普及率は、通常S字カーブを描いて上昇し、16%前後の普及率を超えると、急激にその速度が上昇するとされています。
そして、普及率が50%を超えてくると、普及率の拡大のスピードは減少し、最終的にはあるレベルに収束していきます。
テクノロジーバブルが発生しやすいのは普及率16%と50%の時期
新しいテクノロジーに関連した株価の動きについても、S字カーブの動きと関連性が高いことがよく知られています。
S字カーブの理論では、製品やサービスの普及率が16%を超えると、一気に社会への普及が進むことになります。
普及期には前期と後期があり、前期はシェアが急拡大する時期で、後期は過半数のシェアを獲得し、その上昇スピードが鈍化する時期となります。
株式市場で新しいテクノロジーをベースにしたバブルが最も発生しやすいのは、16%の普及率に達する前の時期と、普及率が50%を超えてからの時期と考えられています。
特に大きいバブルとなるのは、普及率10%台の時期です。
新しいテクノロジーをベースにしたバブルに上手く乗るためには、新しい技術をもとにした製品の市場普及率が10%程度の時期を狙うのが最も効率が良いということになります。
市場シェア10%に着目して考え行動(投資)する
日本の株式市場で、新しいテクノロジーの普及率と実際の関連銘柄の株価がどのような関係だったのかを見てみると、先ほど述べたように、市場シェア(普及率)が10%台で、株価が暴騰している現象が起きていることが分かります。
家電が普及し始めた時のパナソニックの株価は8倍に上昇した
1955年から1960年までの5年間は、戦後では初めての新しいテクノロジーを背景にした株価高騰が起こりました。
白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」として家庭に急速に普及してきたのです。
パナソニックなどの家電メーカーは次々に増資を行い、その度に株価は上昇していきました。
パナソニックの株価はこの期間、8倍になっているのですが、株価が急上昇した時の冷蔵庫の普及率はわずか数%でした。
16%というしきい値よりも低い段階で株価が高騰するという法則性が当てはまっているのです。
その後のマイカーブーム、ITブームも同様に市場シェア10%程度の時期に株価が高騰
1965年からは、今度はマイカーブームとなります。
トヨタなど関連銘柄の株価が高騰したのですが、やはり株価の高騰がスタートするのは市場シェア10%台の時期です。
インターネットも同様で、株価の上昇が始まるのは、パソコンの市場シェアが10%台の時となっています。
ある技術を有望と判断した時には、少なくとも市場シェアが10%台のタイミングを狙い、思い切って投資するのが最も合理的だということが考えられるのです。
まとめ
- マーケティングの世界で使われるS字カーブを見極める
- 新しいテクノロジーの普及率はS字カーブを描いて上昇する
- テクノロジーバブルが発生しやすいのは普及率16%と50%の時期
- 市場シェア10%に着目して考え行動(投資)する
- 家電が普及し始めた時のパナソニックの株価は8倍に上昇した
- その後のマイカーブーム、ITブームも同様に市場シェア10%程度の時期に株価が高騰