貨幣(お金)という存在を日本で初めて根付かせたのは日宋貿易を行った平清盛
前回、約1300年前に日本の通貨制度は一度崩壊した?『お金の起源とそれが衰退した要因』でお伝えした通り、約1300年前、日本でも一時的に貨幣(お金)の流通はありました。
しかし、胴の不足や朝廷(政府)の価格設定などの失敗により、人々の銭離れが起き、やがて米と布を通貨の代わりとする従来通りの体制に戻ってしまいました。
では、いつから本当の意味での日本で貨幣(お金)の流通が根付いたのでしょうか?
それは、平清盛が日宋貿易(にっそうぼうえき)で輸入した宋銭(そうせん)から始まったとされています。
日本の歴史上で初めてお金持ちになったのは平清盛
貨幣が流通するまでの日本でも富豪と呼ばれる人物は数多くいましたが、お金=貨幣とするならば、それを大量に保持した人物は、平清盛が日本で最初なのです。
すなわち、日本で初めて大金持ちとなったのが平清盛であり、日本で初めてお金(貨幣)という存在を決定的に根付かせたのも平清盛なのです。
1150年の書物に銭での売買記録が見つかり銭の流通が再開されたと見る
前回でもお伝えした通り、958年の乾元大宝を最後に、朝廷は銭の鋳造をやめてしまいました。
この後、150年もの間、貨幣は日本で流通していませんでした。
この歴史は、土地の売買の記録から銭の使用の記載が消えていたことから判明しています。
当時の人々は、物の売買の際に米や布を貨幣の代わりに使用していたと見られています。
ところが、1150年の書物に、土地の売買の記録に再び銭を使用した記載が見つかりました。
この頃から、銭の流通が再開されたと見られています。
平清盛が日宋貿易で宋銭を輸入したことにより銭の流通が始まった
なぜ、一度衰退してしまった銭が再度流通したのか?
それは、中国から大量の宋銭(そうせん)が入ってきたからなのです。
それを行った(輸入)のが平清盛を中心とした平家一族だと言われており、同時に経済力を握ったのです。
日宋貿易で権力と経済力を絶対のものにした
平清盛は、日宋貿易(にっそうぼうえき)で権力と勢力を手に入れました。
日宋貿易によって得た経済力で、天皇家や有力公家に近づき、権力を手にしたのです。
その後も、博多に日本初となる人工港を作ったり、貿易拠点となる港を整備しようと考え、神戸港に大改築工事を施したりと、日本の貿易を取り仕切るようになり、発展させることで、大きな経済力と権力を絶対のものにしていきました。
決定的な宋銭の輸入の記録は残っていないが平家が関与していたと考える
実のところ、平清盛が実際に宋銭を輸入したという決定的な記録は残っていません。
そのために、平清盛が宋銭を輸入したというのは間違いだという歴史家もいるのは事実です。
しかし、この当時、日宋貿易を取り仕切っていたのは平家一族であり、日本で大量に出回る宋銭の輸入に全く関与していないとは到底考えられません。
さらに、宋銭の流通拡大と、平家一族の繁栄のタイミングが合致していることから見ても、宋銭の増大に平家一族が深く関わっていたことは間違いないと見ます。
宋銭はお金の歴史を決定的にする影響力
宋銭は、日本を完全に貨幣経済にしてしまうほどの影響力がありました。
米や布が貨幣の代わりに使用されることはほとんどなくなり、13世紀後半には、年貢なども米ではなく銭での支払いに変わっています。
それは、当然のごとく、貨幣の方が商取引には便利だからです。
現在でも銭(お金)の病があるのは平清盛が流行らせたから
貨幣を決定的に根付かせ、世の中を便利にしたのはいいのですが、お金に執着する人『金の亡者』が増えていったのもこの時からです。
当時の書物にも「今の世の中は、上も下も銭の病に悩まされている」という記載が残されています。
1179年は、平清盛の権勢が最高潮に達していた時であり、政治、経済において平清盛は絶大な力を持っていました。
つまり、過去から現在でもお金に悩む人やお金に取り憑かれた人がいるように、銭の病は、平清盛が流行させた病気と言っても過言ではないのです。
平清盛が宋銭を輸入し貨幣を流通させてから現在まで続くお金の存在
ここまでの通り、平清盛が日本で初めて貨幣(お金)を本格的に根付かせ、流通するようにしたのです。
その後、平家が滅亡した後、この宋銭の利得を平家から引き継いだのは、鎌倉幕府であり、さらにその後の2016年現在まで、お金という存在が引き継がれているのです。
まとめ
- 日本の歴史上で初めてお金持ちになったのは平清盛
1150年の書物に銭での売買記録が見つかり銭の流通が再開されたと見る - 平清盛が日宋貿易で宋銭を輸入したことにより銭の流通が始まった
日宋貿易で権力と経済力を絶対のものにした
決定的な宋銭の輸入の記録は残っていないが平家が関与していたと考える - 宋銭はお金の歴史を決定的にする影響力
現在でも銭(お金)の病があるのは平清盛が流行らせたから - 平清盛が宋銭を輸入し貨幣を流通させてから現在まで続くお金の存在