ウォーレン・バフェットが勧める高利回りの長期投資法『フォーカス投資を成功させるための心得』

ウォーレン・バフェットが勧める高利回りの長期投資法『フォーカス投資を成功させるための心得』

を見ていただいた通り、フォーカス投資の基本や優位性が理解できたと思います。

しかし、基本を忠実に守り、銘柄選びに間違いがなかったとしても、フォーカス投資を成功させるためには、株価に翻弄されないことが絶対条件になります。

株式市場は常に合理的だとは限らない

感情的で貪欲な人々や、損をした人々など、ウォールストリートに渦巻く群衆が株価に影響を与えるとき、市場が常に合理的な価格を付けているとはとても言えません。実際、株価が不合理なことがよくあります。

ウォーレン・バフェットは講演の中でそう話しました。この言葉の続きを考えれば、その意味の深さがわかります。

株価がいつも合理的とは限らないことを前提とすれば、株価だけを頼りに意思決定をする近視眼的な考え方に縛られなくてもいいということになります。

株価が全てではないと考えれば、視野を広げて信頼できるものに焦点を当てることができます。

それは、事業に関するしっかりした調査と分析です。

もちろん、価値より安い価格に気づけるように、価格は常に意識していたいのですが、ひどく間違った方向を示すこともある株価を、唯一の判断基準としてとらわれる必要はないのです。

 

簡単に思えるがこの考え方に変えるのは容易ではない

ファンドマネージャーや機関投資家、あらゆる個人投資家も含め、この業界全体が株価に近視眼的になっています

どこかの株価が上がると、何かよいことが起こっていると考え、下がれば、悪い出来事を想定し、それに沿った行動をとります。

これは、よく考えられた行動とは言えません。しかも、株価を評価する期間が短いと、事態はさらに悪化します。

株価という誤った指標だけに頼り、しかもそれをあまりにも頻繁に気にして、気に入らないことが起こるとすぐ反応してしまいます

この誤った考え方は、ビジネスのあらゆる場面で登場します。この考え方のために、人によっては株価を毎日チェックしますし、1時間ごとにチェックする人まで現れるほどです。

巨額の資金に責任を持つ機関投資家が一瞬のうちに株式を売買する体制にあることの背景にも、同じ間違いがあります。

ファンドマネージャーたちが目にも留まらぬ速さでポートフォリオの中の株式を入れ替えるのも同じ理由です。

 

アクティブ投資の投資信託を観察すると矛盾した取引が鮮明に浮かび上がる

相場がぶれたときに、顧客に売買を急がないようにと真っ先に呼びかけるのがファンドマネージャーたちであることは皮肉な話です。

既定の方針を堅持することが素晴らしいことだと、顧客に言い聞かせているそのことを、自分自身が行わないのはなぜなのでしょうか?

この矛盾を観察するのにうってつけなのは、アクティブ投資を行っている投資信託です。取引の詳細が記録され、金融メディアが細かくチェックしています。

金融ジャーナリストのジョセフ・ノセラが、投資信託のマネージャーが顧客には、バイ・アンド・ホールド(買ったら売らずに持ち続ける)を勧めている一方で、自分たちが実際には売買を頻繁に繰り返している矛盾を指摘しました。

今や、ファンドマネージャーには、短期的な実績を上げるという強いプレッシャーがかかっています。

この成績のランキングが、主要メディアにより大々的に公表され、最高の成績を上げたファンドが、テレビや新聞のコメンテーターにもてはやされ、実績をアピールする広告を出して、新たな資金を呼び込みます。

どのファンドマネージャーが好調なのかを待ち望んでいた投資家は、ランキングに素早く反応して、ファンドマネージャーの才能の有無を見分ける手段として使われます。

 

投資業界全体が短期的な株価変動に支配されている

アクティブ投資を行う投資信託だけでなく、短期的な株価変動に固執する傾向は、投資業界全体に浸透しています。

ファンドマネージャーが長期的な実績で評価される環境はもはや失われてしまっており、自分の資産を管理している人々も、この不健全な雰囲気に毒されています。

悪循環に陥ると、出口はないように思えます。

ファーカス投資のように、長期的にリターンが平均を上回りそうな戦略は、皆が評価する成績とはうまく適合しないように見えてしまっています。

 

株価ではなく保有している企業の利益を見る

フォーカス投資では、株価を判断基準としてはならないとすれば、代わりに何を使えばいいのでしょうか?

短期的な株価変動に惑わされず、市場が発信する情報も無視しなくてはならないとすれば、株式を買ったらあとは目を閉じているしかできないのかと言うとそうではなく、別のベンチマークが必要です。

 

投資の運命は投資している企業の運命で決まる

もし投資している企業の株価が見れなくなるとしたら、誰もが、投資している企業の利益の伸びをチェックし、自己資本利益率を計算して、営業利益率が改善しているかを見るでしょう。

事業経営がうまくいっているかをチェックすることで、投資の価値が上がっているかどうかを判断するはずです。

ウォーレン・バフェットからしてみれば、株価が見れる企業の業績評価もこれとなんら変わるところがありません。

私は、毎日の株価や年間の価格変動で投資が成功かどうかを判断しない。ビジネスの成功を市場がなかなか評価しないこともあるが、しばらくすると追いついてくる

そうウォーレン・バフェットは言います。

 

十分長い期間長期投資をすると企業の価値に株価は近づく

そうなると、市場は適切な企業を選び出す場として信頼できるのでしょうか?

企業が生み出す利益と株価との間に十分な相関関係は見出せるのでしょうか?

答えは、適正な期間について考えればあります。

株価と企業の利益の関連の強さを判定するために、ウォーレン・バフェットが勧める高利回りの長期投資法『数字で見るフォーカス投資の優位性』で使用した、1200社を見てみると、期間を長く取るほど、相関は強くなったことがわかります。

3年間で見ると、相関度は低く、10年間で見ると、相関度は高くなりました。

つまり、十分に長い期間で考えれば、ウォーレン・バフェットが考えた通り、企業の株価は企業の実績と相関しています

ただし、ウォーレン・バフェットは、利益が株価に反映される期間はいつも同じではないし、予想もできないと念を押します。

期間が長くなると、利益と株価の結びつきは強くなるが、常に予測可能ではない。長期で見れば、市場での価値は、企業の価値を追いかけていくが、気まぐれに激しい動きが起こる可能性はいつでもある。

とウォーレン・バフェットは言います。

 

まとめ

  • 株式市場は常に合理的だとは限らない
  • 簡単に思えるがこの考え方に変えるのは容易ではない
  • アクティブ投資の投資信託を観察すると矛盾した取引が鮮明に浮かび上がる
  • 投資業界全体が短期的な株価変動に支配されている
  • 株価ではなく保有している企業の利益を見る
  • 投資の運命は投資している企業の運命で決まる
  • 十分長い期間長期投資をすると企業の価値に株価は近づく

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