日露戦争の勝利は外債発行によるお金が大きく関わる『高橋是清の活躍が日本を変えた』

日露戦争の勝利は外債発行によるお金が大きく関わる『高橋是清の活躍が日本を変えた』

前回、日清戦争の勝因は酒税のおかげ?『豊かな国民と明治政府が勝利に導いた戦争とお金の流れ』でもお伝えしましたが、日清戦争では日本が勝利を収めました。

しかし、それは両手を挙げて喜べるものではありませんでした。

その勝利に伴い、日本は、フランス、ドイツ、ロシアに圧力をかけられ、その10年後には、ヨーロッパの大国ロシアと戦争をすることになります。

しかし、当時の日本はアジアの小国で、経済力も軍事力もずば抜けているロシアには到底勝てる見込みはありませんでした。

ですが、歴史の教科書にも載っている通り、日露戦争は日本が勝利したのです。

それには、高橋是清の外債消化が大きく関係しているのです。

日本はロシアと戦うために国を挙げて強い軍隊を作った

アジアの小国だった日本は、日清戦争後から約10年後、日露戦争に向かうことになります。

冒頭でも述べましたが、日清戦争では勝利を収めたのですが、それによりフランス、ドイツ、ロシアに圧力をかけられます。

フランス、ドイツは極東まで大軍を派遣することは難しいのですが、ロシアに関してはそれが可能でした。

ロシアと戦うためには、相当の軍備が必要であり、莫大なお金が必要となりました。

それから日本は、日露戦争前の10年間、社会インフラもまともに整っていない中で、国家予算の50%を占める軍用費をつぎ込んだのです。

 

国民の同意のもと軍事費を調達していた

上記のように言うと、あたかも政府が勝手に行い国民に負担を強いたように思いますが、当時は帝国議会も開設されており、政府は予算を議会に通さなければなりませんでした。

ですので、国民の同意があってのことなのです。

ただ、当時の選挙権は、15円以上(1900年からは10円)税金を納付している人とされていたため、全国民の同意があってのことではありませんが、国民の意志をある程度は反映していたことと考えられます。

 

他の国と比べても軍事費の比率は飛び抜けて多かった当時の日本

日清戦争から日露戦争にかけての日本の軍事費の比率は、世界でも飛び抜けて多く、欧米各国と比較しても最も高く、ロシアの2倍以上になっていました。

GNP(国民総生産)に占める軍事費の割合も高く、欧米各国の2〜3倍で、国民が負担していた軍事費は相当無理がある額だったのです。

それでも、天皇も含め、国を挙げて強い軍隊を作りました。

 

欧米各国と比べると当時の日本は貧しい国だった

日清戦争の相手である清もアジアでは大国でしたが、ロシアはその比ではないほどの大国で、軍事力や経済力もずば抜けていました。

清と日本の財政支出を比べてみると、清は1億2000万円、日本は9862万円で、あまり差はなく、国土の小さい日本は、統治のための費用もあまりかからず、歳出の多くを軍備に回すことができ、財政的な面で日本に分がありました。

 

軍事費も経済力も到底及ばないロシアに戦いを挑む

しかし、ロシアを含むヨーロッパの国々と比べると、桁が違います。

日露戦争の4年前のGNPを比較してみると、日本はロシアの8分の1、イギリスの9分の1、アメリカの15分の1しかありません。

日本は欧米各国と比べれば、本当に貧しい国だったのです。

軍事費の額も、著しく低く、ロシア、アメリカの3分の1、イギリスの4分の1しかありません。

そんな状況で、日本はロシアに戦いを挑んだのです。

 

日露戦争の費用は国家予算の8年分で国債を発行した

日露戦争の費用は総計で19億8612万円でした。

当時の国家予算は2億5000万円だったので、8年分です。

この内、14億7329万円は国債で補われ、つまりは日露戦争の費用の、4分の3は借金によって補ったわけです。

では、この国債をどのようにして消化したのでしょう?

それは、14億7329万円は国債の内、13億円が外債で消化され、外国に引き受けてもらったのです。

 

世界中の国がロシアが勝利すると予想してたが高橋是清を海外に派遣する

しかし、日本の国債を外国に買ってもらうというのは困難なことでした。

当時は世界中のほとんどの国が、ロシアと日本が戦争をすればロシアが勝つと思っており、負けると思っている国の国債を買うはずがありません

この困難な仕事を引き受けたのが、当時、日本銀行の副総裁であった高橋是清なのです。

日露戦争が開戦するとすぐに、外債募集のためにアメリカ、ヨーロッパに高橋是清は派遣されます。

 

当初のアメリカもヨーロッパも日本に投資(国債購入)をしなかった

高橋是清は、まずアメリカに向かいました。

しかし、当時のアメリカは豊かな国だったのですが、未開の地が多く残る発展途上の国でもあったことで、アメリカ自身がヨーロッパから投資をしてもらっている段階であり、日本に投資をするような状況ではなかったので、外債の募集は難しかったのです。

 

日本は担保になる資源も無く勝てる見込みも無く国際的な評価が低い

次にヨーロッパに向かいますが、ここでも結果はあまり良くありません。

当然のことながら当時の日本は、国際的な評価が低くアジアの小国に過ぎなかったので、ロシアに勝てるわけはないと思われていることから、外債を買ってくれる国は現れませんでした

さらにもう一つの理由が、日本には担保になるものがないことです。

ロシアには、広大な国土と鉱山があったので、もし戦争に負けてもそれを取ればいいのですが、日本にはそれに当たるような資産はありません。

よって、ヨーロッパ諸国は日本には金を貸さずに、ロシアにばかり投資をしていたのです。

 

高橋是清は諦めずにイギリスに向かい成果をあげる

なかなか外債が売れないままでしたが、日本は日露戦争の直前に同盟を結んでいたイギリスを当てにしていました。

しかし、イギリス人は日本人が思っている以上にシビアで、同盟は結んでも、お金を貸すことは渋り、同盟はあくまでもロシアの脅威から自国を守るためのもので、日露戦争での日本の勝利のためにお金を貸すことではないと考えていたのです。

それでも高橋是清は諦めず、イギリスの銀行家たちを説得し、なんとか500万ポンド分の国債を買ってもらいました。

政府から申し付けられていた額は1000万ポンドでしたが、それでも売れないよりは良かったのです。

 

ユダヤ人であるジェイコブ・シフとの出会いが日本の運命を変える

やっとの思いで、イギリスで国債を発行できたことのお祝いで、イギリス人の知人が高橋是清を晩餐会に招待してくれました。

この晩餐会で幸運にめぐり合います。

晩餐会には、アメリカ国籍ユダヤ人の銀行家ジェイコブ・シフも招待されていました。

高橋是清はジェイコブ・シフに、日本の経済状態についてや、日本の国債を1000万ポンド発行しようとしていることを話しました。

すると、ジェイコブ・シフは、売れ残っている500万ポンドを引き受けると言いだしたのです。

それには理由があり、当時のロシア帝政が、ジェイコブ・シフと同じユダヤ人を迫害していたのです。

日本と戦争をしてロシアの国力が弱まれば、ロシア帝政は倒れる。

そのために、日本に加担しようと考えたのです。

ジェイコブ・シフの協力は、日本が日露戦争を続ける上で多大なる貢献となります。

 

ユダヤ人の迫害を続けていたロシアに日本を勝たせたかった

ジェイコブ・シフは、ロシアにユダヤ人の迫害をやめさせるように様々な努力をしていました。

ヨーロッパ各国に働きかけたり、ロシア政府に抗議したこともあります。

さらに、ジェイコブ・シフは、ロシア政府にお金を貸してもいました。

これには、お金を貸すからユダヤ人の迫害をやめてくれというメッセージでした。

それでもロシア政府はユダヤ人の迫害をやめません

このような経緯があり、ジェイコブ・シフは日本に加担することを決めたのです。

 

高橋是清の外債消化により日露戦争を勝利に導いた

一方その頃、日本軍はロシア軍との激突を繰り返していました。

日本軍は、1904年4月30日に鴨緑江の渡河作戦を行い、作戦は圧勝となり、日本軍は次々に占領していきます。

これにより、欧米での日本の人気は高まり、高橋是清はようやく当初の予定の外債を消化できたのです。

 

世界中の予想を覆し高橋是清の活躍で日本は勝利した

日本にとって、鴨緑江の渡河作戦は、外債のためにも絶対負けられない戦いでした。

もしこの作戦で戦いに負けていれば、日本は外債が消化できず、戦闘が継続できなくなり敗戦していたかもしれません

それぐらい、日露戦争は綱渡り状態だったのです。

鴨緑江の渡河作戦の成功により、イギリスとアメリカで発行された日本の国債は、申込者が予定の数倍以上になり、発行銀行には何十メートルもの行列ができるほどの人気となりました。

日露戦争の軍費は予想をはるかに超え、外債は最終的に8200万ポンド発行されました。

戦争前は、1000万ポンドの国債を消化させるのにあれだけ苦労したのに、最終的には、その8倍も発行・消化が出来たのです。

その多くは、高橋是清の功績によるもので、日露戦争は高橋是清の活躍で勝利したと言っても過言ではありません。

 

まとめ

  • 日本はロシアと戦うために国を挙げて強い軍隊を作った
    国民の同意のもと軍事費を調達していた
    他の国と比べても軍事費の比率は飛び抜けて多かった当時の日本
  • 欧米各国と比べると当時の日本は貧しい国だった
    軍事費も経済力も到底及ばないロシアに戦いを挑む
  • 日露戦争の費用は国家予算の8年分で国債を発行した
    世界中の国がロシアが勝利すると予想してたが高橋是清を海外に派遣する
  • 当初のアメリカもヨーロッパも日本に投資(国債購入)をしなかった
    日本は担保になる資源も無く勝てる見込みも無く国際的な評価が低い
  • 高橋是清は諦めずにイギリスに向かい成果をあげる
    ユダヤ人であるジェイコブ・シフとの出会いが日本の運命を変える
    ユダヤ人の迫害を続けていたロシアに日本を勝たせたかった
  • 高橋是清の外債消化により日露戦争を勝利に導いた
    世界中の予想を覆し高橋是清の活躍で日本は勝利した

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