デフレーションが起きる仕組みと原因『デフレは経済の縮小と不況を招く』

デフレーションが起きる仕組みと原因『デフレは経済の縮小と不況を招く』

私たち一般市民からしてみれば、モノやサービスの値下げは大変喜ばしいことですが、経済全体で見ると、それは経済の縮小を意味し不況を招く原因となります。

確かに物価の下落は、目先の利益を得ることができますが、やがて賃金カットなどの不況となって私たちに返ってくるのです。

そこで今回は、デフレーションが起きる仕組みと、それに伴いどのようなことが起こるかを見て、考えてみましょう。

デフレは経済縮小の連鎖を起こす

市場には買い手と売り手がおり、モノやサービスの価格が上下することで需要と供給の差を調整します。

モノやサービスの買い手が少なく売り手が多くなれば、供給が需要を上回るので価格は下がります。

買い手が多く売り手が少なければ、供給が需要を下回るので価格が上がります。

このメカニズムが市場原理なのです。

市場経済では、自由な競争が行われ、生産者や消費量が適切に自動調整される中で、市場には巨額のお金が流通しています。

価格の変動を繰り返しながら、モノやサービスの需要と供給が調整されると同時に、市場に流通するお金も増減を繰り返しながら、企業や投資家、生産者や消費者などの経済主体の間を行き来しています。

市場経済は、市場に流通しているお金の総資金量の増減であり、その総資金量は人々に分散されています。

ですので、市場に出回っている総資金量が減ると、必然的に一人あたりの取り分は減り、総資金量が増えると、一人あたりの取り分は増えることになります。

市場の総資金量が減る現象をデフレーション(デフレ)増える現象をインフレーション(インフレ)と呼びます。

  • インフレ:モノやサービスの価格が上がるためお金の価値が下がる
  • デフレ:モノやサービスの価格が下がるためお金の価値が上がる

物価の下落が不況を招き更に物価の下落させる

今の日本では長期に渡って続いたデフレからの脱却が、大きな経済目標とされています。

デフレが悪いとされている理由は、経済の縮小の連鎖が起こるからです。

  1. 物価の下落が起きると企業収益の悪化を招く
  2. 企業収益が悪化すると労働者の賃金をカットする
  3. 消費者(労働者)が消費を抑制する

この悪循環が広がると、物価の下落が不況を招き、さらに物価が下落し続けるというデフレスパイラルに陥ってしまいます。

 

物価が下がると賃金(給与)カットをしなければいけなくなる

私たちからしてみれば、物価が上がり続けるインフレよりも、デフレによって、モノやサービスが安くなる(値下げ)方が嬉しいと思いますが、多くの人が「モノの値段はこの先安くなる」という考え方をしてしまうと、買い控えが起きてしまいます。

そのようなマインドが生まれてしまうと、生産者や流通業者の利益が大きく失われていくことになります。

デフレは生産者や流通業者にとって最悪の経済状態です。

通常であれば、100円で販売しなければいけないモノを70円、50円まで値下げしなければ売れない状況に陥り、最終的には赤字になってしまう可能性も高くなります。

利益を出せなくなれば、そこで働く従業員の賃金をカットしなければいけなくなり、最後には倒産に追い込まれます。

このような状態が広まると、デフレで物価が下がることと同時に、賃金の低下も起こるということです。

 

資産デフレは銀行のバランスシートを毀損し企業の資金ショートを起こす

上記のようなデフレは、需要不足によるものですが、不動産や株式などの資産価格の下落によって発生する資産デフレも深刻な問題です。

日本では、1990年頃のバブル崩壊で、銀行などが担保として持っている不動産の評価額が大きく下落したため、借金が払えなくなり、土地や建物を売る人たちが後を絶ちませんでした。

しかし、市場に買い手が増えないまま、売り手ばかりが増えると不動産価格が下落します。

 

時価会計の導入により銀行は現金を確保しなくてはいけない

企業が不動産を売却し損失が発生した場合、その数字を計上するだけで済めば、被害は実損部分だけに限定されます。

しかし、例えば〇〇銀行が一億円の融資の担保に設定した不動産の時価総額が6000万円に下がったとします。

その差額4000万円を損益として処理しなければならず(売却しなくても)〇〇銀行のバランスシートは一気に悪化します。

これは、時価会計の導入により、貸出金額に対して担保の時価評価額が割り込んだ案件を不良債権として認識し、融資の担保に設定した不動産の購入価格と時価評価額との差額を、引当金として現金で確保しなけらばならないためです。

銀行では一般的に、引当金を確保するために現金を増やす必要に迫られ、不動産を含む保有資産の売却や貸出の抑制、融資の回収が広く行われます。

結果、融資を受けていた企業が現金に詰まり、資金ショートを起こして潰れていくケースが後を絶たなくなったのです。

 

赤字でも黒字でも現金が無くなれば企業や国は倒産する

現在日本は世界最大の赤字国家だと言われていますが、企業も国も赤字だけでは倒産しません

逆に、どれだけ黒字で最高の収益を叩き出したとしても、手元に現金が無くなれば倒産します

銀行が貸し出しを減らしたり、貸し剝がしを行って、手元の現金をどんどん増やしていったのもそのためですが、それにより、かえって企業が潰れ、融資の焦げ付きが増え、不良債権が増えていったのです。

バブル崩壊で、このようなことが繰り返される中で、バランスシート不況と呼ばれる現象が起こるようになりました。

企業保有資産の価格が下落し、不良債権が増え、バランスシートが傷つくと、企業は財務内容を改善する目的で、収益の大部分を引当金や借金の支払いに充てざるを得なくなります。

それに伴い、企業が資金調達や設備投資、経費などを抑制するようになり、景気が低迷し、実体経済が悪化するという負の連鎖が起こったのです。

 

たとえ小さなインフレ・デフレでも長い年月をかけるとその差は歴然

例えば、年間5%の物価安が起こった場合、次の年の物価はその0.95倍になります。

これが10年続いた場合、物価は0.95の10乗 = 約0.6倍になります。

車で例えるなら、最新の車が300万円であれば、10年後同じクラスの新車が出ても180万円の値段で発売されるということです。

同じく、日本のGDPが年間5%のマイナス成長を10年続けた場合、GDPは約0.6倍になってしまいます。

これは、現在給料を30万円稼いでいるなら、10年後(今と同じ給与なら)は18万円に下がるということです。

 

インフレは賃金上昇に結びつく

長期に渡るデフレによって、日本経済が世界的に占める地位は大きく低下してしまいました。

こうした状況を脱却するため、政府と日銀は年間物価上昇率2%の達成を目指しています。

2%の物価上昇が10年続けば、物価は約1.2倍になります。

物価上昇でモノの原価が上がりすぎても困りますが、それを上回るペースで消費者物価が上昇すれば、売上に対する利益が高くなります。

利益が高くなれば、生産者や流通業者にも利益が分配され、それが賃金上昇に結びつくようになります。

 

デフレを招いている本当の原因は人の気持ち

株価や為替、不動産も、将来への人々の期待や不安で価格は変動します。

物価についても同様で、モノの値段が将来高くなると思えば、必然的に駆け込み需要が起こり、消費の原動力になるのです。

デフレはそのようなマインドの部分でも消費の拡大行動を遮り、消費の減退を招きます。

偉そうなことは言えませんが、『失われた20年』に苦しんだ日本人の間にデフレマインドが長年根付いていることで、企業の経営者たちもデフレマインドに陥っていると言えます。

  • どうすれば良いモノやサービスを安く提供できるか
  • どうすればコストダウンしてモノやサービスを安く売ることができるか

このようなことに走りすぎているはずです。

モノやサービスを安く売るということは、メーカーを支える下請け、孫請けなどのサプライヤー、物流、卸売、小売などに分配される利益も必然的に減っていくことを意味します。

その結果、賃金カットや雇用カットが行われ、家計の所得が低下し、消費の原資が失われていくのです。

こうした構造を生み出しているのは、デフレマインドから抜け出せない企業経営者や私たちの心理的な要因が大きいと言えるのです。

 

まとめ

  • デフレは経済縮小の連鎖を起こす
    物価の下落が不況を招き更に物価の下落させる
    物価が下がると賃金(給与)カットをしなければいけなくなる
  • 資産デフレは銀行のバランスシートを毀損し企業の資金ショートを起こす
    時価会計の導入により銀行は現金を確保しなくてはいけない
    赤字でも黒字でも現金が無くなれば企業や国は倒産する
  • たとえ小さなインフレ・デフレでも長い年月をかけるとその差は歴然
    インフレは賃金上昇に結びつく
  • デフレを招いている本当の原因は人の気持ち

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