債券投資によるリスク分散が拡大することで大規模な金融危機を引き起こす

債券投資によるリスク分散が拡大することで大規模な金融危機を引き起こす

『卵は一つのカゴに入れるな』という、投資にまつわることわざがあります。

これは特定の銘柄だけに投資を行うことは避け、分散投資せよという意味です。

分散投資を行うことは決して間違いではないのですが、大規模な金融危機が起こると、リスク分散が仇となり、リスクが拡散してしまうことで市場が崩壊するケースがあることが明らかになりつつあります。

その代表格は、サブプライム問題に始まった一連の動きで明らかになった複雑化された債券投資です。

そこで今回は、現在販売されているリスク分散型投資商品の概要や、それらが暴落・破綻してしまう仕組みなどを考えていきます。

リスク分散型投資商品は様々な形に姿を変え拡大し販売されている

リスク分散の考え方で進められ、投資銘柄が一つの債券に偏らないように、投資リスクの高いものと低いものを一つのカゴに入れることで分散投資ができる、『リスク分散型投資商品』を債券ファンドなどが販売しています。

従来のリスク分散型投資商品は、A、B、Cの債券に分散投資をし、例えAが破綻してもBとCに分散投資を行っておくことで暴落を回避するという単純なものでした。

しかし、市場は年月が経つほどに発展していき、現在では様々な債券を商品化し、それをまとめて販売する商品などが、想像を絶する規模で拡大していき、世界中に広がっているのです。

 

3つのランクに分けられて販売されているCOD(債務担保証券)

社債やローンなどで構成される資産を担保にして証券を発行するCOD(債務担保証券)と呼ばれる金融商品があります。

このCODを、高格付けのシニア債、低格付けのエクイティ債、中間のメザニン債というように、リスクの度合いで分類され、企業や投資家に販売されています。

  • シニア債:元利金が優先的に支払われる一方利回りは低い
  • エクティ債:ハイリスク・ハイリターン
  • メザニン債:シニア債よりリスクは高いが比較的高いリターン(ミドルリスク・ミドルリターン)

 

ハイブリッド債は最も複雑に組み合わされた金融商品

優先株、劣後債、永久債、優先出資証券などから構成される資産をいくつもに切り分け、それらをかき集めたハイブリッド債というリスク分散型投資商品があります。

ハイブリッド債は、債券と株式の中間的な性質を持つ証券で、期待リターンとボラティリティは債券よりも高くて株式よりも低く、弁済順位は株式よりも高くて債券よりも低いという商品です。

 

リーマンショック以上の金融危機をもたらすかもしれないCoCo債

近年、破綻懸念が高まっているドイツ銀行が発行しているハイブリッド債の一種である『CoCo債(偶発転換社債)』が非常に問題視されています。

CoCo債は、金融機関が自己資本の増強を目的に発行する社債の一つですが、経営危機などで金融機関の自己資本が一定以下になるなどの条項にかかると、強制的に普通株に転換されたり、減額される仕組みになっています。

この膨大に膨れ上がったCoCo債が破綻すると、リーマンショックをはるかに凌ぐほどの金融危機に見舞われると言われています。

それを反映してか、ドイツ銀行の株価は50%以上(リーマンショック時以上)の下落をしています。

 

リスクを分散することで互いの資本が繋がってしまいリスクを拡大させた

リスク分散をすることで、安全な投資が行えるはずの投資商品がなぜ暴落したり破綻したりしてしまうのでしょうか?

その答えは、2008年に起きたサブプライム問題が証明しています。

サブプライム問題は、金融債務の保証を専門に取扱う保険会社である「モノライン」が良くも悪くも注目され、保証という金融商品が拡大したことが原因なのです。

 

連鎖倒産リスクの拡大が破綻を招いた

保険会社は支払い余力比率を維持するために、資本を厚くし、保険料や資産の運営収益の一部を準備金として積み立てたりしています。

しかし、自己資本の範囲を超えて、資本を毀損してしまうと、加入者から集めている保険料を食ってしまいます。

そのことは明らかなのですが、現資産を全額自己資本で持っている保険会社は存在せず、保険会社の資本の多くは借入(借金)によるものなのです。

そのために、保険会社が保険の加入者に対して支払いを保証している金額が、自己資本に対して低すぎる状態を借入金がカバーし、保険会社の経営危機が多発的に起こることはないという前提で保険の仕組みが作られているので、保険会社1社の借入資産の一部が毀損してもそれほど大きなリスクにはならないとされています。

しかし、リスクの分散によって、金融危機などで全ての資産が大きく目減りする事態が発生した時、保険会社は破綻してしまったのです。
※バブルの発生と崩壊の仕組み『信用創造と信用収縮』

これはすなわち、リスクを分散することが、金融取引の相手側が破綻することなどによって起こる、カウンターパーティリスクによる連鎖倒産リスクを拡大させていたのです。

 

銀行も保険会社と同じく連鎖倒産のリスクを抱える仕組み

保険会社だけでなく、銀行も同じことが起こります。

銀行同士も互いに膨大な量のお金の貸し借りを行っており、銀行が最も多く保有している資産は、銀行間におけるお金の貸し借りで生じた銀行債権です。

何らかの理由で取引先銀行の経営が悪化し、銀行債権の内容も悪化すると、債権を保有している銀行の資本も傷つき、経営状態が悪化することになります。
金融リスク(危機)の原因は銀行にある?銀行がお金を稼ぐ仕組み

 

リスク分散の拡大は結局は全てが繋がり合ってしまう

冒頭でもお伝えした『卵は一つのカゴに入れるな』の言葉通り、リスク分散(分散投資)が拡大し、さらに信用創造が合わさり、複数のカゴに卵を入れていたはずなのに、気付けばその複数のカゴをが全て入ってしまう、さらに大きなカゴに卵が入ってしまっているのです。

前回お伝えした、グローバル・スタンダードを築いた新自由主義の歴史と事実上の崩壊の通り、ワン・ルール、ワン・ワールド化が進んでしまった現代では、避けようがない短期金融市場の負の連鎖なのかもしれません。

 

まとめ

  • リスク分散型投資商品は様々な形に姿を変え拡大し販売されている
    3つのランクに分けられて販売されているCOD(債務担保証券)
    ハイブリッド債は最も複雑に組み合わされた金融商品
    リーマンショック以上の金融危機をもたらすかもしれないCoCo債
  • リスクを分散することで互いの資本が繋がってしまいリスクを拡大させた
    連鎖倒産リスクの拡大が破綻を招いた
    銀行も保険会社と同じく連鎖倒産のリスクを抱える仕組み
  • リスク分散の拡大は結局は全てが繋がり合ってしまう

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