『お札より硬貨の方が価値がある?』貨幣と紙幣の違いと中央銀行の役割

『お札より硬貨の方が価値がある?』貨幣と紙幣の違いと中央銀行の役割

私たちが私生活で必ず使用している『お金』が、いったい何なのかについて考えたことはありますか?

1000円札も5000円札も10000円札も、実物として目に見える物として扱われていますが、このお金は日本銀行が信用という裏づけを持たせた、ただの紙切れなのです。

それに対し、同じお金であるコイン(貨幣)は、日本政府が実物資産として発行している価値のあるお金なのです。

そこで今回は、紙幣と貨幣の違いと紙幣を発行している中央銀行(日本銀行)と日本政府の関係を考えていきたいと思います。

紙幣と貨幣は同じお金だが互いにまったく違う存在

通貨には2種類が存在します。

その一つが紙のお金である紙幣、もう一つが貨幣と呼ばれる金属のお金です。

実は、この紙幣と貨幣では、発行元もお金としての意味合いも、全く違うのです。

 

紙幣は日本銀行が発行し貨幣は政府が発行している

紙幣であるお札を見ると、「日本銀行券」と書かれているように、紙幣を発行しているのは日本銀行であり、日本政府ではありません。

それに対して、貨幣は日本政府が発行しています。

 

貨幣は国内でしか使用することができない

紙幣に対して補助的な役割を果たすのが貨幣です。

貨幣は補助貨幣という存在で、日本国内だけでしか使用することが許されていません

ですので、海外に日本の硬貨を持って行っても、外貨と両替することはできないのです。
※特別な方法で両替することができるのですが、両替というよりは売買という形になります。

海外に行ったことがある方なら分かると思いますが、空港などで両替した際、紙幣しか渡されないのは、それぞれの国の貨幣は紙幣とは違う扱いであるという意味なのです。

 

貨幣は実物資産として意味合いを持たせた通貨

補助貨幣は、日本政府が直接発行しているもので、日本の貨幣の場合、500円硬貨はニッケル、100円・50円硬貨は白胴、10円硬貨は青銅、5円硬貨は黄銅、1円硬貨はアルミニウムといった、産業に必要とされている材料で製造されています。

こうした材料で作られている理由は、非常用備蓄(実物資産)の意味合いを持たせているからです。

ちなみに、硬貨に穴をあけたり、溶解したりすると罰せられます。
※貨幣損傷等取締法

 

紙幣はそのモノ自体に対して価値はない

貨幣に対して、紙幣は燃やしたり破いたりしても罪にはなりません。

また、万一、紙幣を燃やしたり破いたりしても、裏表があることを条件に、規定の面積に応じた基準で日本銀行が新しい紙幣への取り替えを行っています。

規定の面積

  • 2/3以上:同額の紙幣に交換
  • 2/5以上2/3未満:半額の紙幣に交換
  • 2/5未満:交換取替え不可

紙幣は燃やしたり破いたりしても罪にはなりませんが、偽造や複製を行うと法律で罰せられます。
※刑法一四八条、通貨及証券模造取締法、紙幣類似証券取締法、すき入紙製造取締法など

紙幣は貨幣とは違い、その紙に対しての信用の引換券と同じ意味合いなので、そのモノ自体に価値があるわけではありません

ですので、その信用を証明することができれば、交換してもらえるのです。

 

中央銀行とは政府と切り離れた通貨を発行できる機関

世界各国の中央銀行とは、国際ルールの中で、各国の主権の一部として認められいる通貨(紙幣)発行権、すなわち国が通貨を発行する権利を中央銀行が行使するという構造になっています。

この構造には、国の金融当局が財政当局からの独立性を持って金融政策を行うべきだとする「財金分離原則」という考え方が大きく関わっています。

 

政府と通貨発行権を切り離すことで信頼性を保っている

仮に政府が自国通貨の発行権を持つと、財政状態が悪くなったときに政府が大量の通貨を発行することで、通貨の信頼性を失う可能性があります。

そうならないために、通貨の発行と金融政策を行う中央銀行の役割を分離することで通貨の信頼性を保っているのです。

日本でも、財政政策を行う政府と金融政策を担う日本銀行は分離されており、日本銀行法第三条「日本銀行の通貨及び金融の調整における自主性は、尊重されなければならない」と定められています。

 

建前では政府と中央銀行は切り離されているが事実上連動している

しかし、現実では、日本銀行の資本金のうち55%を日本政府が出資していますので、日本銀行は完全な独立対とは言えません

G20(20か国財務大臣・中央銀行総裁会議)に代表されるとおり、国家の財務当局と金融当局(中央銀行)は連携して動くということは世界標準となっています。

日本銀行法第四条「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連携を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と定められているように、政府と中央銀行は分離されていますが、結局は建前でしかないのです。

 

まとめ

  • 紙幣と貨幣は同じお金だが互いにまったく違う存在
    紙幣は日本銀行が発行し貨幣は政府が発行している
    貨幣は国内でしか使用することができない
    貨幣は実物資産として意味合いを持たせた通貨
    紙幣はそのモノ自体に対して価値はない
  • 中央銀行とは政府と切り離れた通貨を発行できる機関
    政府と通貨発行権を切り離すことで信頼性を保っている
    建前では政府と中央銀行は切り離されているが事実上連動している

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